第90回 (旧暦4月8日)
そろそろ茶摘みの季節ですが……
今年は5月2日が八十八夜でしたから、
今日は九十四夜に当ります。
八十八夜を過ぎると、そろそろ茶摘みの季節。
そこで今日は、お茶の話をすることにしましょうか。
われわれが飲んでいるお茶はチャノキの葉っぱ(芽)で、
加工の方法の違いによって
緑茶、紅茶、烏龍茶などの種類に分かれます。
チャノキの葉には酸化酵素が含まれていて、
摘み採ると黒く変色してきますが、
その葉を蒸すことで酵素の働きを止め、
黒変させずに緑色を保たせたものが緑茶。
これに対して、酸化酵素を発酵させて作るのが紅茶、
そして半発酵させたのが烏龍茶というわけです。
また、栄養的にいえば、
発酵熱でビタミンCが破壊される紅茶や烏龍茶に較べ、
緑色を保った緑茶にはビタミンCが豊富に含まれている、
などの違いがあります。
お茶は、現在ではほとんど嗜好品として飲用されていますが、
もともとはもっぱら薬として用いられ、
日本にも最初は薬木として移入し、
寺社を中心に栽培されるようになったものと考えられています。
茶の葉には、カフェイン、クエルセチン、ケンフェロール、
テアニン、アルギニン、タンニンなどが含まれていて、
心臓や腎臓、胃などの機能を活発にする作用があるため、
喫茶以外にも、糖尿病に葉の粉末を服用したり、
茶汁にショウガのしぼり汁を混ぜて下痢止めに用いたり、
風邪や頭痛に緑茶とミカンの皮を混ぜて服用する、
などの民間療法も古くから行われてきました。
なお、最近では、お茶の葉をいろいろな料理に用いて
「食べる」人も増えているようですが、
花や実もホワイトリカーに漬けて薬酒に利用できますから、
チャノキを植えている人は一度試してみませんか。
作り方は、酒1.8Lに対し、花も実も0.7L、氷砂糖100gを加えて
漬け込み、3ヶ月ほど熟成させますが、
花は1週間で取り出しておきます。
モチロン、上記の効果があるように、
ほどよく渋味が効いた大人の酒としても楽しめますゼ。
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茶摘み |
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