第87回 (旧暦3月27日)
なつかしの「スイバナ」を見直そう
仙人と同世代の人たちのなかには、
子供のころ、野辺に咲く白い管状の花を引っこ抜いて
チュウチュウと甘い蜜を吸った記憶を持つ人が
きっと居るに違いありません。
子供のころオヤツ代わりに蜜を吸ったこの白い花は、
スイバナ、ミツスイバ、チチバナ、スイバナカズラといいます。
スイカズラは、スイカズラ科のつる性常緑木本で、
今ごろからそろそろ白い管状の唇弁花をつけ始めますが、
この花は若いうちは白色でも、古くなるとだんだん黄色に変わり、
花の盛期には若い白花と古くなった黄花とが
同一の株に混ざり合った姿を目にすることが少なくありません。
そのため、漢方ではこの花を「金銀花(きんぎんか)」と呼び、
葉や茎(こちらは「忍冬=にんどう」という)とともに
解毒や鎮痛、利尿などの生薬として利用されてきました。
スイカズラに含まれる薬理成分は、
配糖体のロニセリン、ロガニンとタンニン、ルテオリンなどで、
解毒、浄血、利尿薬としての用法は、「金銀花」「忍花」とも
各10gを500ccの水で煎じ、1日3回に分服するのが基本ですが、
ヘルペスやはれものに適宜煎服したり、
口内炎や扁桃腺のときに煎液でうがいをする、
などの民間療法も広く行われています。
また、花や茎葉の煮汁を加えた湯で入浴すると、
腰痛、肩こり、関節痛、打ち身などに効果がありますし、
ホワイトリカーに漬け込んで薬酒としても利用できるほか、
若芽と若葉は和え物、おひたし、炒め物などで
食用することもできますから、
手近に調達できる日常薬草として憶えておくと重宝するはずです。
ところで、当連載は仙人の都合により
明日から5月5日までの1週間、
ちょこっと休ませていただくことになりました。
連休中に鋭意を養い、5月6日からまた再開しますので、
これまで同様ヨロシクお願い致します。
皆さんもよい連休をお過ごしください。
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スイカズラの花 |
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