第84回 (旧暦3月24日)
ウドの大木
雪解けの斜面にウドが顔をのぞかせるようになると、
雪国でも本格的な山菜採りのシーズンを迎えます。
ウドは、平地から山地まで生えるウコギ科の多年草で、
生長すると2m近い草丈になりますが、
この茎は中空で何にも利用できないところから
「ウドの大木」とヤユする言葉が生まれました。
ところが、その「ウドの大木」も、
ときには役に立つことがあるのです。
それは、何あろう山菜採りでウドを探すとき、
前年の「ウドの大木」が格好の目印になるということです。
ウドの新芽は、必ず前年の茎の脇から生え出るため、
立ち枯れたり倒れたりしている前の年の枯れ茎を見つければ、
そこにウマそうな新しいウドの芽があることが
判るというわけで、このアタリマエの法則を心得るだけで
ウドの収穫はグ〜ンと違ってくるのですナ。
つまり、「世の中に役に立たないものはない」という
お手本のようなものですから、常日頃「ウドの大木」と
陰口をたたかれている御仁たちにとっても
マコトに勇気づけられることではありますまいか。
それはさておき、ウドは優良な山菜として
食用されるばかりでなく、
アスパラギン、チロジン、アラニンなどのアミノ酸やブドウ糖、
ジテンペンアルデヒドなどを含み、
古くから頭痛や風邪、中風、神経質、リウマチなどの薬草として
活用されてきた歴史があります。
基本的な用法は、秋に根を掘って水洗いし、
薄く細断してから3日ほど天日で干し、
その後に陰干しで乾燥させたものを、
1日量10g当り300ccの水で煎じ、3回に分服すればヨロシイ。
また、根茎の煮汁を加えた湯に入浴すると、
風邪の予防や冷え性、神経痛、リウマチ、痔疾(切れ痔)などに
効果がありますから、こちらの方も試してみてください。
なお、市販されているウドは、
25度Cほどの室で軟白栽培されたもので、
食味・薬理効果とも、やはり野生のものがすぐれています。
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ウドは必ず前年の枯れ幹の脇から新しい芽を出す |
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ウド料理 |
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