第82回 (旧暦3月22日)
タラの木を見つけタラ……
ゴールデン・ウィークに
山菜採りに出掛ける予定の人もいるはずですが、
関東地方の山地では、
ちょうどそのころがタラノメの摘みごろにあたります。
タラノキは樹幹に鋭いトゲがあって憶えやすいこともあり、
人の眼にふれる場所に生えているものは
ことごとくその芽をむしられる運命にあると言って
過言ではありません。
タラノキの芽は、まず茎頂に一番芽が出て、
それを摘み採ると、その脇から二番芽を伸ばしますが、
二番芽の後に出る三番芽を摘んでしまうと
幹自体が枯れてしまうため、
食用に摘むのは二番芽までにとどめるのがマナーです。
なお、最近では、にわか憶えの山菜採りでタラノメと間違えて
ウルシの芽を摘んでしまう人もいるようですから、
馴れない人は気をつけなければイケマセン。
タラノメの食べ方は、
テンプラやおひたし、和え物にするのが一般的ですが、
芽先がほころびる前のコロッと太ったやつが採れたときは、
たき火で焼き、味噌をつけて食べる「タラノメ田楽」を
一度試してみませんか。絶品ですゼ。
また、タラノキの樹皮には、
タラリン、プロトカテキ酸、コリンなどが含まれていて、
乾燥した樹皮を煎じて糖尿病に飲用したり
(樹皮15gを500ccの水で煎じ1日3回に分服)、
樹皮や種子をホワイトリカーに漬けて
(酒1.8Lに対して乾燥皮は0.9L、種子は0.6L、氷砂糖100g)
薬酒にするなどの民間療法もありますから、
芽をむしられて枯れ始めたタラノキを見つけたときは
樹皮を剥いで薬用に持ち帰るとヨロシイ。
ところで、タラノキにはもうひとつ
意外な利用法があるのですが、何だか解りますか?
実は、タラノキの幹は中心部が柔らかな髄になっていて、
この部分で釣りの浮子(うき)を作るのです。
これは「タラボ浮子」といって、浮力があるうえに軽いため、
同一の仕掛けで浮子釣りと脈釣りの両方に対応できますから、
仙人はヤマメやイワナを釣るときは
もっぱらこの「タラボ浮子」を使っています。
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タラノキの芽(通称タラノメ) |
幹には鋭いトゲがはえているので採るときには気をつけよう |
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