蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第81回 (旧暦3月21日)
季節の花を酒の肴に

例年、鎌倉で野生のフジの花が咲くのは
ゴールデン・ウィークのころですが、気の早い庭木のフジは
2、3日前からひと足早くチラホラとほころび始めました。

日本に自生するフジには、
本州・四国・九州に分布するフジ(ノダフジ)と、
中部地方以西の本州と四国・九州に分布するヤマフジとがあり、
遠くから花だけ眺めていると両者の区別はほとんどつきませんが、
つるの巻き方を見るとノダフジが右巻き、
ヤマフジの場合は左巻きという大きな違いがあります。
最近では、このフジを食用とする習慣は見られないものの、
江戸時代に刊行された『大和本草』という一種の薬草辞典には、
「葉わかきとき食ふべし」と書かれていて、
当時はフジの若葉(つる芽)が食用されていたようです。
仙人は、その若いつる芽をテンプラにするほか、
花もサッと茹でて酢の物にして食べますが、
この花の酢の物は酒の肴にするとなかなかオツなものですゾ。

そもそも酒の肴というものは、
季節感や彩りなどが大切な要素ですから、
フジだけでなく、アケビやハリエンジュ(ニセアカシア)、
ライラックなど、食用できる季節の花を
どんどん利用すればよいのです。
軽く湯に通して水けをきり、二杯酢、三杯酢にするだけで
目に楽しい一品になりますし、キュウリやタコなどの
酢の物に彩りとして加えるのも一法でしょう。

また、フジの樹皮にはウエスチンという
イソフラボン配糖体が含まれていて、
古くから胃ガンの薬として利用されてきたほか、
日干しした種子(フジまめ)3gを300ccの水で半量に煎じ、
下剤として飲用する民間療法などもあります。
ちなみに、樹皮を薬用する場合は、「フジこぶ」といって、
樹幹がこぶ状にふくれた部分を最良としますが、
これは一種の虫えいで、漢方薬店でも「藤こぶ」という
生薬名で売られていますから、自分で調達できない人は
これを利用すればヨロシイ。

フジの花

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