蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第77回 (旧暦3月17日)
コフキサルノコシカケ

各地の朝市や温泉地のみやげ物店などの店先に
コフキサルノコシカケというキノコが並べられているのを
眼にしたことはないでしょうか?

このコフキサルノコシカケは、
「樹舌(じゅぜつ)」とか「龍眼菰(りゅがんこ)」と呼ばれ、
漢方では古くから食道ガンの薬とされてきましたが、
近年では抗腫瘍活性の顕著なグルカン(β−モノグルコシル)が
多量に含まれていることが明らかになり、
国立がんセンターによる抗腫瘍作用に関する研究でも
64.9%の腫瘍阻止率を示すことが証明されてきました。
つまり、かなりの効率の抗ガン作用を有するキノコのひとつ
ということは間違いないということですが、
しかし、朝市やみやげ物店に並んでいるものを買うときには、
よくよく注意しなければなりません。

それは、こういう場所で売られているものは、
店側の知識が乏しいために、
薬用としてはすでに役に立たなくなっている状態のものが
たくさん混じっているからです。
どういうことかといえば、
このキノコの有効成分は水溶性のため、
樹上で枯死した後に長時間雨に打たれていると、
その有効成分は雨によって少しずつ流出し、
しばらくするとモヌケノカラになってしまいます。
こうして有効成分が流出したものは、
裏面に汚褐色のシミや汚れが表われるため、
裏を見ればひと目でわかるのですが、
そのことを知らないで売っている店が多いのです。
したがって、買うにしろ、自分で採るにしろ、
薬用として用いるときは、
裏面が白〜黄白色でシミや汚れのないものを選ぶことが
何より大切だということを憶えておいてください。

もっとも、このキノコは、ちょっと注意して探してみると、
街中のサクラやウメ、ヤナギなどの樹幹で
いくらも見られますから、
そもそも旅先などで買い求める必要はなく、
自分で新しいものを選んで採るのが
いちばん確実な方法なんですがネ……。

ココア色の粉をふくコフキサルノコシカケ 小さく切って使用する

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