蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第75回 (旧暦3月15日)
植物のもうひとつの利用法

この連載では、これまで植物の利用法について
もっぱら「食」と「薬」に関して紹介してきました。
しかし、健康と関係のある植物の利用法としては、
もうひとつ「染」つまり「染色」という世界があります。
そこで今日は、その「染」について
取り上げてみることにしましょう。

現在では、衣類に用いる染料も産業レベルでは
ほとんど化学染料が使われていますが、
もとをただせば染料のすべては植物でした。
その染料がナゼ「健康」と関係があるかといえば、
衣類は肌に直接触れるものであり、
かぶれなどの炎症を起すような材料は避ける必要があるからです。
そのため、古来から染料には
毒草をいっさい使用しないのが鉄則とされていたばかりでなく、
「食・薬・染」といって、
染料に用いる植物(これを染料植物と呼びます)は、
食用になり、かつ薬になるものに限られていたのでした。

近年では、こうした植物を利用する染色を
「草木染め」と呼んで、
趣味や工芸の部類に位置付けてきましたが、
天然繊維の良さが見直されてきたこともあってか、
その草木染めを楽しむ人たちが増えています。
染色というと、
何かムズカシイ専門技術のように思われやすいものの、
基本的な原理は簡単明瞭で、
草木を煮出した液に糸や布を浸すだけのことですから、
山菜のアク抜きのついでにでも一度試してみてはどうでしょう。
もちろん、本格的な染色は発色や定着のために
それなりの知識や技術が必要ですが、
それぞれの植物が持っている
自然の色に染まる楽しさの味をしめれば、
それは自ら身についてくるというものです。

用意するものは、
草木を煮出すためのホウロウかステンレスの鍋、
ポリ製のたらいとバケツ、
染めるための白い布か糸、
そして、何種類かの媒染剤(鉄、酢、銅など)があればヨロシイ。
野山を歩くとき、草木染めの衣類を着ていると、
ナゼか虫除けの効果がありますゼ。

上段左はビワの葉(炭酸カリ)
上段右はウド(炭酸カリ)
下段左より、イタドリ(炭酸カリ)、イタドリ(酢酸アルミ)、
ヨメナ(酢酸銅)、ドクダミ(酢酸銅)

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