第60回 (旧暦2月30日)
海辺の山菜採り
今日からいよいよ4月です。
4月から6月にかけては山菜の季節ですから、
今日から何回かに分けて
山菜採りの基礎知識を伝授することにしましょう。
1回目の今日は「海辺の山菜採り」じゃ。
「えっ、海辺にも山菜があるの?」なんて驚かないでください。
海辺にだってオイシイ山菜がたくさんあるんですゾ。
そもそも、日本で野菜が本格的に栽培されるようになったのは
室町時代あたりからのことですが、
それ以来、畠で栽培するものを「圃菜(ほさい)」、
水辺に生える食草のことを「水菜」」、
野原に生える食草を「野菜」、
そして山地に生えるそれを「山菜」と呼ぶようになったのですナ。
やがて栽培が安定し、消費のほとんどを
圃菜でまかなえるようになってくると、
今度は、栽培されるものを「蔬菜(そさい)」
または「野菜」と呼び、
野生のものをひっくるめて「山菜」と、
大きく二つに分けて呼ぶようになり、
それが現在まで続いているのです。
したがって、食用になる野草であれば、
海辺に生えるものでも「山菜」と呼んでヨロシイのですゼ。
そんなわけで、仙人は昔から
海辺で山菜採りを楽しんでおるのですが、
では、海辺にはどんな山菜があるかといえば、
アシタバ、オカヒジキ、ツルナ、トウオオバコ、
ハマアザミ、ハマエンドウ、ハマカンゾウ、
ハマゼリ、ハマダイコン、ハマナス、ハマボウフウ、
ハママツナ、ボトンボウフウなど、ざっと20種類にのぼります。
これら海辺に生育する植物は「海岸植物」と呼ばれ、
関東地方南部以西の太平洋側暖地では、
その多くが冬場でも利用できるのが大きな特長で、
この海辺の山菜を覚えておくと、
季節を問わず野生の味を楽しめることになるのですナ。
それに、海岸周辺は、総じて交通の便にも恵まれ、
行動するうえでも、山地と比較して労力や危険が少なく、
だれもが安全に草摘みを楽しめる、という利点もありますから、
これを機に海辺の山菜採りを
楽しむ習慣を身に付けてみませんか。
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代表的な海辺の山菜 ツルナ |
ハマボウフウ |
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