蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第39回 (旧暦2月9日)
仙人の香水

渓流釣りの解禁から10日あまり。
この季節の谷筋で最初に目にするのは
川岸のネコヤナギですが、
その目を山肌に転じると、
裸の梢の先に白い花を点々とつけている
中高木の姿に気が付くことがあります。
コレハモクレン科のコブシかタムシバのどちらかですが、
遠目でそれを正確に見分けることはまずできません。
それというのも、この季節の両者の区別点は、
コブシでは花芽も葉芽も毛を被っているのに対し、
タムシバの葉芽は毛を被らないことくらいでしかないからです。
このように、コブシとタムシバは
姿かたちがソックリなのに加え、
含有成分もほとんど同一のため、
それを活用するうえでは両者を区別する必要はありません。

さて、このコブシとタムシバには
芳香性の精油が含まれていて、
花にも枝にも良い香りがありますから、
仙人はこのつぼみを利用して
孫娘たちに天然の香水を作ってやるのです。
実は、コブシやタムシバのつぼみは、
産業としての香水原料にも使われ、
その場合は蒸留法で抽出するのですが、
家庭で即席で楽しむ場合なら、
アルコール(水でも可)を入れたグラスの中に
つぼみを2〜3個入れて1日ふたをしておくだけで
よい香りのする香水液ができますから、
これを小ビンに詰めておけばいいのです。

また、コブシのつぼみを乾燥させたものは
漢方では辛夷(しんい)といって、
頭痛、鼻炎、蓄膿症などの生薬として用いますが、
仙人は生のつぼみで花酒も作っています。
作り方は、酒1.8リットルに対して
つぼみ0.9リットルをビンに入れ、
氷砂糖100gを加えてホワイトリカーを注入し、
密封して3〜4か月寝かせます
(花のつぼみは1週間で取り出す)。

コブシやタムシバに含まれる芳香精油の成分は
シネオール、ユウゲノール、
オイゲノール、シトラール、ピネンなどですから、
この花酒は精神安静、鼻炎、頭痛などに効果があるほか、
血行を促進し、美容にもヨロシイ。


良い香りのするタムシバの花


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