第37回 (旧暦2月7日)
日本人は「レンゲ蜂蜜」がお好き
昨3月8日が「ミツバチ」の日でしたから、
3月9日はさしずめ「ミツをクウ」日なのかもしれませんナ。
そうなると、もう1回ハチミツについて
話しておかなければなりますまい。
現在、日本で生産されているハチミツには、
レンゲソウ、クローバー、ナノハナ(ナタネ)、
ミカン、ハリエンジュ(ニセアカシア)、ソバ、
トチノキ、クリなどの花蜜を原料とするものがありますが、
日本人がイチバン好きなハチミツは
レンゲソウのハチミツなんだそうです。
レンゲソウは、レンゲあるいはゲンゲとも呼ばれる
マメ科の1年草で、仙人がまだオボッチャマと
呼ばれていたころには、
田畑の緑肥にするために一面のレンゲ畑が
都市近郊でも普通に見られたものでした。
それが、高度経済成長期の始まりとともに、
自然肥料から化学肥料にと転換したのに加え、
都市近郊の田畑は工場や道路、住宅などの用地として
急激に減少し、あっという間にレンゲ畑も
姿を消してしまったのです。
それはさて、レンゲのハチミツは、
色が淡く、味も香りも淡白でクセがないのが特徴ですが、
これが好まれるということは、
ハチミツに対してまで日本人の味覚の淡白好みの性質が
よく表れていることを示しています。
これに対してクリやソバのハチミツは
暗色で味にもクセがありますから、
ハチミツを買うときはラベルの原料表示を確かめて
選ぶようにすることです。
また、近年ではハチミツに
糖分やビタミンなどを添加した製品も売られていますが、
「ハチミツ」と表示できるのは純粋ハチミツの場合だけで、
他成分を添加したものは
その旨を明示することが義務付けられています。
ところで、仙人のように山の中をほっつき歩いていると、
木の洞(うろ)などに
野生ミツバチの巣を見つけることがあります。
この野生ミツバチのハチミツは
コクがあってヤタラうまいのですが、
夏の土用を過ぎてからは、
トリカブトの花蜜が混入している可能性がありますから、
決して手を出すべきではありません。念のタメ。
タンポポとレンゲが咲けば、もうすぐ春。
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