蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第28回
仙人のポケット

毎月28日は、なぜだか知りませんが、
「ビスケットの日」だそうです。
そのビスケットといえば、こんな唄がありましたっけ。
「ポケットをたたくたびビスケットが増える……。
こんなふしぎなポケットが欲しい」
そう、「ふしぎなポケット」という唄ですが、
実は仙人というものは誰れでも
こういうポケットをちゃんともっているのですナ。

どういうことかといいますと、
街の中であれば、腹が減ったら食堂へ入り、
オナカが痛くなったら病院や薬屋へ駆け込み、
雨が降ってくれば100円ショップへ飛び込めばいいのですが、
仙人が跋渉(ばっしょう)する自然のフィールドには、
レストランンや病院や100円ショップなど
あるわけがありません。
ということは、衣食住すべてに関することがらを
すべて自分で解決するしかないのです。

そうすると、あるときはコックにあるときは医者に、
あるときは大工に、そして今度はお針子サンに……と、
仙人はその場その場の事情に応じて
いろいろな技能者に変身しなければなりません。
いってみれば「ナンデモ屋」であることが
必要になってくるのですが、かといって、
そのために必要なあらゆる道具をみにまとうことなど
トテモできるわけがないでしょう。
どうとなれば、そのときどきに身近で見つかる
自然の事物を活用して対処していくほかはありませんから、
腹が痛くなったときはその場で腹痛に効く薬草を探し出し、
ハラが減ったら食用になる動植物を手に入れ……
ということになるのわけで、
そのために必要なさまざまな知恵を
常にどこかに詰め込んでおかねばならないのです。

このとき、それぞれの知恵を
別々のポケットにしまっておくとなると、
ポケットの数がいくつあっても足りませんから、
ひとつのポケットでありながら、
必要に応じてなんでも取り出せる
「ふしぎなポケット」が必要になってくるのですネ。
それにたくさんのポケットにモノをいっぱい詰め込んだ
ポケットデブの仙人なんて、
考えただけでもカッコ悪いと思いませんか?


仙人考案のカンカン飯を炊く


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