蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第24回
勘違いしやすい栄養学

これまでは、もっぱら植物の話を取り上げてきましたが、
いかに仙人といえど、21世紀を生き抜くには、
ときには動物をも相手にしなければなりません。

そこで、今日はウシの話ジャ。

いやいや、ウシといったって、
スキヤキやステーキの話などではなくて、
ウシのオッパイ、つまり牛乳のことですがね……。
さて、この牛乳に関して、
「日本人一人の1日当たりカルシウム所有量は600mgだから、
毎日牛乳200mlの牛乳を飲んでいれば
その半分を牛乳だけで摂取できる」
ということがしばしば言われてきました。
確かに、牛乳には100g中100mgの
カルシウムが含まれていますから、
数字の上での計算ならそういうことになるでしょう。

しかし、ちょっとマッテもらいたい。
牛乳をウシの仔が飲んだ場合には、
そのカルシウムを95%程消化吸収することができるけれど、
人間が飲んだ場合には15%程度しか
消化吸収していないことになり、「牛乳200mlで半分」なんて
トテモトテモいえないのじゃないですか?

そもそも、牛乳はウシの仔を育てるために
母ウシが分泌するものですから、
ウシの仔にとって理想的な食料であることは事実です。
でもウシと人間の消化器は、構造も機能も自ら異なっていて、
たとえば胃袋の数ひとつを考えても、
ウシは4つ、人間は1つなのですから、
牛乳を体内に取り入れたとき、
ウシと人間とではその含有物質の消化吸収率が
違ってくるのはアタリマエのことなのです。

つまり、栄養ということを考えるとき、イチバン大切なのは、
その食品に含まれている数値ではなく、
それを人間の体内に摂取したとき、
どれだけの実効的な消化吸収が得られるか、
ということでなければいけません。

こういう表面上の数字に惑わされている例は
ほかにもたくさんありますから、
ときにはこういう視点で
身の回りの食品を見直してみることも必要なのですゼ。


ジャージー牛(仔牛)。
ホルスタインより小型だが、こちらの乳のほうが
脂肪、タンパク質、乳糖、灰分の値が高い。


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