第22回
豊かな感性を育むのが仙人術の第一歩
「ド〜テのス・カ・ン・ポ、ジャワザラサ〜、
ひるはホ〜タルはネンネする〜」
仙人がまだ愛らしい小学生だったころ、
小学唱歌の中にこんな歌があったっけ。
ここに登場するスカンポというのは、
標準和名でスイバというタデ科の多年草で、
スイッパ、スイカンボなどと呼ぶ地方もあります。
春早くから田畑の畦(あぜ)や道端、
日当たりのよいやや湿った草地など、
どこでも見られる植物ですから、
おそらく誰もが目にしているに違いありません。
そう、ちょっとホウレンソウに似た葉っぱのアレのことですよ。
余りに身近すぎることに加え強い酸味があることもあってか、
日本ではほとんどまともな食草として扱われてきませんでしたが、
フランスではオゼイユと呼び、
グリーンソースの材料として古くから重用されてきました。
ちなみに、仙人の場合は、この若菜(葉柄ごと)を
軽く塩もみして一夜漬けを作りますが、
どうしてどうして、ヘタな野沢菜よりよほどイケるもんですゼ。
それに、タムシや水虫に葉と根っこの生汁を塗布したり、
花を煎じて健胃薬にしたりと、
古くから民間薬としても利用されてきましたから、
こういう入手しやすい身近な植物にこそ
真っ先に目を付けるのが仙人術の鉄則でもあるのです。
また、姿かたちも生育環境も、
このスイバと酷似する
ギシギシというタデ科の多年草がありますが、
こちらの方もスイバとほとんど同じ方法で食用できるほか、
根を羊蹄根(ようていこん)という生薬名で呼び、
煎じて緩下薬としたり、根をすり下ろして
水虫やタムシに塗布するなどの民間療法があります。
仙人が子供のこのには、こうした身近な里植物の多くは、
食べたり薬にしたりするだけでなく、
子供たちにとっては格好の遊び道具でもあり、
このスイバやギシギシの場合には、
葉を重ね合わせて草花人形を作ったりしたものでした。
今にして思えば、こうして自然の中で
豊かな感性を育むことこそが、
仙人術のイチバンの基本であることに気が付くのですナ。
ギシギシ
ギシギシの人形。
花はアザミでもタンポポでもなんでもヨロシイ
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