第20回
仙人の目薬
「ワタシの国では、視力はミンナ5.0よ」
そう言ったのはアフリカの外交官タレントの
オスマン・サンコンさんですが、
仙人が思うに、それは当然至極アタリマエのことなのですナ。
どういうことかと言いますと、おしなべて狩猟民族というものは、
そもそもその程度の視力はちゃんと備え持っているものなのです。
たとえば、草原でシマウマを獲るとしてですネ。
そのくらいの視力で視認できる距離からシマウマの群れを見つけ、
相手に気付かれるまえにイチハヤク風下に回り込んでいかないと、
弓矢とか槍とかいった射程の短い猟具では
シマウマ1頭獲ることは不可能なのです。
そして、シマウマ1頭獲れないとなれば、
家族を養うことはできませんから、
つまりは生きていけないということにほかなりません。
実は、これは日本でも同じことで、狩猟民俗であった縄文人達は、
やはりそれくらいの視力は持っていたに違いないのです。
その証拠に、仙人のオトモダチには、
狩猟集団であるマタギの末裔だとか、山小屋のオヤジだとか、
今でも奥深い山中を自在に駆け回っている連中が何人もおりますが、
彼らの世界では、今なお4.0とか5.0という視力は
決して珍しいことではないのですから。
まあ、そういう異界の話はともかく、視力の話をしたついでに、
オメメによろしい仙人薬でも紹介しておくことにしましょうか。
そのひとつは、仙人秘伝の「カラハナソウ酒」。
カラハナソウはビールの苦味材に使われるホップのなかまで、
別名ヤマホップと呼ばれるもの。
この花をホワイトリカーに漬けて
(酒1.8リットルに対し0.9リットル。氷砂糖100g)
3か月以上寝かせたものですが、
徹夜後の疲れ目も小グラス1杯でおめめパッチリ、
たちまち視力が回復します。
ただし、いくら飲んでも5.0の視力にはなりませんので、
念のタメ……。
また、目が充血したときには、
乾燥させたナズナ5gを100ccの水で煎じ、
ガーゼを漉した液で洗眼すると治まります。
ナズナ
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