第19回
植物と親しくなるアタリマエの術
この連載は「身近な植物をわれわれの健康に活用する」ことを
テーマのひとつとしていますから、
これまでも、これからも、いろいろな植物が登場します。
それらの植物は、仙人にとっては「身近」であっても、
必ずしも多くの人にとって「身近」であるとは限りません。
そこで今日は、いろいろな植物を「身近のもの」にするための
アタリマエの術を紹介しておくことにしましょう。
たとえば、イヌにしろネコにしろ、
自分でペットとして飼育するとなると、
そのイヌやネコには「ポチ」だの「タマ」だの「ジュリー」だのと、
思い思いの愛称を付けて呼び、
自分のペットを呼ぶときに「イヌ」とか「ネコ」といった
集合名詞で呼ぶ人はマズいないといっていいでしょう。
これは植物に対しても同じことで、
木とか草とか雑草とかいった集合名詞で呼んでいるうちは、
決して「身近な存在」にはならないのです。
植物の場合、一本一本の草木に「タロー」だの「ハナコ」だのの
愛称まで付ける必要はありませんが、
少なくとも「雑草」という名前の植物はないのですから、
たとえ地味で目立たない植物でも、
「ギシギシ」とか「ママコノシリヌグイ」といったように
個有名詞(正しくは個有種名)で
呼んでやれるようなることが大事なのです。
幼稚園や小学校のセンセイなら、新入園、新入学の児童たちに対し、
ひとりひとりの顔と名前を早く覚え
「ケンタくん」「マミちゃん」と個有名詞で
相手を呼べるようになることの重要さを
骨身に浸みて知っているものです。
こうして個有名詞で呼べるようになると、
たとえ物言わぬ植物でも、必ず相互に親しみが芽生え
「身近」な関係になるんですナ。
ちなみに仙人は、富士山の原生林で
ツガの大木を見つけたりすると、
それに「駿河守栂之介(スルガノカミツガノスケ)などと命名し、
長いおつきあいを頂いておりますゾ。
山梨県小菅村で見つけたトチノキの巨木。
仙人はこの木を「栃錦」と呼んでいます。
|