第16回
失った知恵や能力を甦させる術
われわれは今、日々の食卓にのせる食べ物や病気を治す薬の
ほとんどがすべてを「店で買う」というかたちでまかなっています。
こういう生活形態が定着すると、人間が本来持ち合わせていたり、
永年にわたって培われてきた
「食べられるものや薬になるものを見分ける」能力や知恵が
どんどん衰退し、現在ではほとんどの日本人が
それを失ってしまったように思われてなりません。
これだけ科学知識が発達した時代でありながら、
食中毒や新しい薬害事故が頻発しているのも、
実はこうしたことに根本的な原因があるのではないかと
仙人は考えてるのですよ。
つまり、動物としての人間は、本来、
自分の身体に入れていいものと悪いものとを
区別する能力をもっており、
それに関するいろいろな知恵を生み出してきたわけですが、
その大切な知恵や能力を「目先の便利さ」と引き替えに
失ってしまったのではないか、ということです。
それに、こうした根源的な知恵というものは、
親から子へ、子から孫へと代々受け継がれてきたものですから、
親子の関係が希薄になれば、そこで途切れてしまうのですね。
ならば、その失った知恵や能力の短期復活術を
仙人が伝授しようでありませんか。
それは、野菜でも雑草でも手当たりしだいにちぎり、
その匂いを嗅ぐことと、
それを口に含んで噛んでみる習慣を身につけること。
そうすると、食べられるものとそうでないものとでは、
ナントナク味や匂いに違いがあることに気が付いてきます。
たとえば、通常食用されていないものは、
強い苦味や渋みがあったり、繊維が強かったり、
不快な匂いがしたり・・・・といったようにです。
こうして自分の嗅覚や味覚を刺激していくと、
ある日ふと「ナンダ、そういうことだったんか!」と、
永年忘れていた動物としての本能が甦り、
「現代病」の憑きモノがコロリとおっこちてくるものなんですよ、
ハイ。
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