第10回
卑弥呼は便秘症だったのか?
もう4年か5年前のこと、邪馬台国の跡ではないかと騒がれた
吉野ヶ里遺跡を訪ねたことがあります。
そこには、当時の吉野ヶ里人の生活を
アニメで再現して見せるビデオ施設があったため、
仙人もそのビデオを見てみることにしました。
そのビデオでは「往時の吉野ヶ里は
おそらくこんなに美しい自然に囲まれていたに違いない」
とでもいうつもりで、タイトル・バックに
いきなり一面のお花畠が登場するのですが、
その花を見て、仙人は思わずブッタマゲてしまったのです。
どういうことかといいますと、
そのタイトル・バックを埋めつくしていた花が
なんとシロツメクサだったからです。
いや、4,5年前のことなので正確な記憶ではありませんが、
ひょっとするとハルジオンも混じっていたようにも思います。
それはともかく、ここに登場するシロツメクサは
江戸時代後期にオランダから移入された帰化植物ですから
(ハルジオンもやはり明治時代後期に移入された帰化種)、
マサカ卑弥呼(ひみこ)の時代に
吉野ヶ里に生えていたはずはありません。
実は、自然背景に関するこうしたトンチンカンな映像は
なにも吉野ヶ里のビデオだけのことではなく、
最近ではテレビドラマでも
日常的に見られる状態になってしまいました。
これは、日本の自然に対する大方の識見が
それだけ衰亡したということにほかならず、
自然を朋とする仙人には
ナントも寂しく思われて仕方がないのです。
映画でもテレビでも、時代モノの場合には、
そろそろ「時代考証」とともに
「自然考証」が必要になっていることを
強く感じないわけにはいきません。
もっともシロツメクサは(近縁のアカツメクサも)
青汁で飲用すると便秘に効果がありますから、
もしかすると邪馬台国の女王卑弥呼は便秘に悩まされていて、
シロツメクサの青汁を愛用していたのかもしれませんナ。
|