第1908回
なぜ「いのちの手帖」が読まれるのか?
医師の本は出てきても、
患者のほんとうの体験を集大成した本が少ないのに驚く――、
僕たちは、なんとかして多くの読者のみなさんに
じっくり読んでもらえる実名患者の原稿が詰まった
雑誌を出そうと考えた――、という話の続きです。
その結果生まれたのが「いのちの手帖」なのです。
ガンの患者さんや家族のみなさんが、本名で闘病体験を書き、
多くの読者にメッセージを送るという作業は、
とても勇気の入る話ですが、
毎号、10名近い、こころざしの高い患者さんや
ご家族が寄稿してくださいまして、
実名の闘病記、実名のエッセイを
「特集1」「特集2」「闘病記」という3本の特集形式にまとめて、
みなさんにお届けしているわけです。
「いのちの手帖」はこれまで4冊出ていますが、
全部を読んでいない人が多いと思いますので、
これまでの患者さんやご家族のみなさんから寄せられた
実名の闘病記、エッセイの特集を紹介しておきましょう。
●「いのちの手帖」創刊号の闘病特集――
【特集1 すべてにありがとう】
希望を未来に 最期の迎え方 鮫島純子
ああ80年・・・、病気知らず 小石原 昭
余命半年からの生還――ガンに感謝 松本久美子
カミさんが膵臓ガンになった 阿部 剛
数奇なる体験は、運命の授かりもの 関根 進
【特集2 種がこぼれて仲間がふえる】
ガン卒業旅行のすすめ、夫のこと・・・ 逸見晴恵
クロノセラピーという最新・抗ガン剤 藤野邦夫
幸せになる種を自分から撒きましょう 洞澤鯉江
患者さんから学ぶこと――私の健康行脚 福井正勝
“介護の絆”を深めよう 塚本 茂
【闘病記 ガンはあきらめない】
見慣れた景色が変った衝撃 塩澤実信
運命を変えた白血病 花井陽光
肺から脳転移・・・全身温熱療法を受けて 小澤恵子
マクロビオティックとスローフード 小島秀樹
前立腺、大腸、胃、多重がんに見舞われて 黒川宣之
たとえば「前立腺ガン、大腸ガン、胃ガン」と
3つの原発・多重ガンを
克服して11年の黒川宣之さんの闘病記は以下です。
*
●多重がんに見舞われて 黒川宣之
多重がんとは、同じ種類のがんが再発・転移するのではなく、
異なる臓器にそれぞれ独立した別のがんが発生したり、
同一臓器内に2種以上の
異なる組織型のがんが発生することをいい、
最近になって急速に増えているそうです。
医療が進んでがん患者の半分が
5年以上生き延びるようになったことや、
一度がんにかかると検診に力を入れるようになり
発見率が高まることが主な理由とされています。
高齢化の進展に加え、大気や食品の汚染はじめ、
経済の高度成長などに伴う
発がん物質の増加が大きな背景としてあります。(略)
短期間のうちに3度も続くと、
今度はどこに出るのだろうと逆に居直ったような気分になり、
予防に気をつけ早期発見して生き延びてやるぞ、
と張り切っているところです。(略)
ただ、多重がんは全身にやみくもに発生するわけではなく、
たとえば首、鼻など頭頚部のがんにかかった人は、
同じ頭頚部や食道などに第2、第3のがんが
発生しやすいといったように、
ある程度発生の頻度が高い場所があるようです。
私の場合は胃をはじめ、食道、口、のどなど
消化器系の臓器に発生する確率が高いと警告されています。
(以下略)
*
どうですか? とてもフツーの医師本には出てこない、
患者ならではの本当の話が綴られていると思いませんか?
|