第1907回
「医学本より患者本」
前に、僕の主治医の帯津良一先生から、
「死を思い、よりよく生きる
」
という新刊の新書本が送られてきたという話を書きました。
治療が「心」の面で及ぼす効果はとても高いという
帯津医師らしいホリスティックな話の本です。
この新書は「健康人新書シリーズ」と銘打って、
新しく廣済堂出版から発売されているものですが、
以下のように今をトキメク、
医師たちの本がラインアップされています。
●石原結實・著「野菜だけで病気を治す」
●五十嵐康彦・著「極楽!即効!足ツボ・マッサージ」
●松原英多・著「万病は『背骨のユガミ』が原因だった!」
●栗田昌裕・著「脳と体に効く指回し教室」
どれも化学劇薬や手術だけが
難病の特効薬ではないことや、
養生上手の勧めを説く興味深い医学本です。
これだけ長寿慢性病時代となると、
昔のように、ただ大学病院の有名教授が書いた
手術や抗ガン剤一辺倒の「標準治療」を喧伝する医学本では、
患者のほうも物足りなくなったのでしょう。
ま、今は、なかなか本も売れない時代となりまして、
ともすると奇を衒(てら)い過ぎた
おかしな健康本や医学本が横行するのは困りものですが、
より『いのち全体の哲学』を前提にした
ホリスティックな読み物がたくさん出てくることを期待しています。
いまや、多くの大病院が倒産したり潰れているように、
旧態依然とした治療ガイドラインや、
医療保険制度にオンブしていたのでは、
患者から見捨てられるばかりか、
病院経営もおかしくなる時代ですからね。
ところで、いまや二人に一人がガンにかかる時代というのに、
医師の本は出てきても、
患者の体験を集大成した本が少ないのに驚きます。
無名の患者の闘病記など、大部数は売れませんので、
どの出版社も怖気づいて出しません。
どこかの健康食品などのPRめいたガンの本には、
「効いた、効いた」という匿名の患者のガン闘病記はありますが、
どこをみまわしても、実名患者のほんとうの体験を集大成した
「ガン患者本」の新刊は皆無に近いのです。
不思議ですね。
ガンがこれだけ社会問題になっているのに、
一方通行のガン情報しか入手できないとしたら、
これほど患者にとって不幸な時代はありません。
ガン患者本は巷の書店や図書館に溢れているように見えますが、
どれも数年前の古い症例や治療データが
詰まったものとなってしまっています。
勢い、患者はインターネットで体験談を確認することになります。
というわけで、僕たちは、なんとかして
多くの読者のみなさんにじっくり読んでもらえるような
実名患者の原稿が詰まった雑誌を出そうと考えたわけです。
それが「いのちの手帖」の特徴です。
ガンの患者さんや家族のみなさんが、本名で闘病体験を書き、
多くの読者にメッセージを送るという作業は、
とても勇気の入る話ですが、
毎号、10名近い、こころざしの高い患者さんや
ご家族が寄稿してくださいまして、
実名の闘病記、実名のいのちのエッセイを
「特集1」「特集2」「闘病記」という3本の特集形式で、
みなさんにお届けすることが出来ているわけです。
とても有難いことです。
いま発売の「いのちの手帖」第4号の患者体験記は
以下のようなものです。
●特集1 自然のパワーをいただきま〜す
●特集2 80歳から息子世代へ!「いのち」のメッセージ
●闘病記 一歩また一歩 ガンと共に歩む
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