第1420回
抗ガン剤の「引き分け療法」
ガンを叩きのめすのではなく、
「ガンと仲良く共生する」「引き分けでもよい」から、
患者自身が、家族や医師と協力して
「ゆったり延命法」を工夫していこう、
自分なりに創造していこう――
野球やサッカーと同じで、
別に10対0で完封、叩きのめす
ことを期待するのではなく、引き分けを愉しんだり、
せめて一点差でよい――
そうした、しなやかな治療選択の話の続きです。
とはいっても、大半の患者が、
大病院の抗ガン剤治療から逃れられないということも
現実ですから、ではどう治療選択をすればよいのか?
その答えのひとつとして、
ガン患者の代理人でもある、
ガン相談所=キャンサーフリートピアの代表医師、
三好立医師が、先月の「ガン患者とアンチエイジング」
市民講座の講演で、詳しく述べられておりますので
そのさわりを抜粋紹介します。
いわゆる、抗ガン剤の「休眠療法」=
ガン治療は叩きのめすのではなく、
「引き分けでいいじゃないか?」
これが「ゆったり延命法」=
スローエイジングの秘訣だという話です。
*
●医療、治療におけるスローエイジングとは?
もっとも望まれる快適な人生は
「よい時間を一番長く過ごしたい」
これに尽きるでしょう。
ガンに対する全ての治療も
「良い時間を一番長く」に繋がっているはずです。
まず、ガン治療法の選択肢について
説明していきますと二つに分かれます。
・通常治療(1)外科治療(2)化学療法
(3)放射線療法(4)ホルモン療法
・非通常療法(5)免疫療法、温熱療法、その他の代替療法です.
では、抗ガン剤治療の話に入る前に,
抗ガン剤とは何か?抗ガン剤誕生の歴史をたどってみましょう。
始まりは、19世紀後半、
ドイツの科学者が開発したマスタードガス(毒ガス)です。(略)
しかしながら、抗ガン剤の持つ基本的な性質、
つまり元々は毒であるということは継承したままでした。
この毒としての元々の性質が副作用の原因であるわけです。
抗ガン剤に限らず、
すべての薬は「薬」と「毒」の二面性を持ち得ますが,
要は「利益をもたらす量の毒は薬となる」というわけです
但し、抗ガン剤の場合、
(1)一般的な薬よりもその安全域が狭い
(2)抗ガン剤に対する反応に個人差が多い,
といった理由から,
風邪薬や抗生剤などの他の薬剤投与よりも使用にあたり,
より繊細な注意が必要とされます。(略)
|