元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1419回
続・なぜ「ガン患者学」が大切か?

ガン対策基本法などが法制化されたとはいえ、
患者実態に見合った「骨太の対策」など
ほとんど講じられていない――、
拡大手術や大量抗ガン剤で、患者を苦しめる治療が、
いかにも「最新治療」のように喧伝され、
ガン患者の救済に貢献するどころか、
「ガンそのものではなく、過度の治療で亡くなって行く」
患者さんがますます増えているのではないか――、

こうした長寿災難時代には、
己のいのちは己で創る――、
スローヘルス患者学の知恵を磨くことが、
ひとりひとりの人生を築くだけでなく、
家族の幸せにも欠かせないことになってきた――、
という話の続きです。

では、日々の養生のほかに、
僕たちは、どんな治療を選択していけば、
上手に延命していけるのでしょうか?
この長寿難病時代を迎えたいま、昔のように、
ただ「ガンを叩きのめすためには手段を選ばず」
「何がなんでもガンに勝つ!」という
格闘技的医療ではなく、
なんとか「ガンと上手に共生して、
ゆったり長生きしていこう」という、
QOL(いのちの質)を考える医療としての
「患者学」が見直されてきました。
僕たちはこれをスローヘルスと命名しています。
つまり「創造的延命学」もしくは
「創延命患者学」と意義付けているわけです。 

もう少し、実態に即して考えてみましょう。
スローといえば、
いま、スローフード、スローライフといった
ライフスタイルが流行語となり、
生活習慣改善としてのスローフード、
ロハス、デトックス、
そして予防医学としてのアンチーエイジング、
いやスローエイジング・・・と、
まさに「スロー」の時代へ突入しました。
また、生活環境から見ても、環境汚染、
添加物汚染、食品汚染、ストレス汚染から
過食肥満の蔓延まで、
あらゆる分野で、クイックよりスローの
ライフスタイルが注目されています。

ちなみに、創造的延命学、創延命患者学など
というと難しく聞こえますが、
繰り返しますが、なにがなんでも
ガンを叩きのめすというのではなく、
「ガンと仲良く共生する」「引き分けでもよい」から、
患者自身が、家族や医師と協力して
「ゆったり延命法」を工夫していこう、
自分なりに創造していこう――
という発想がスローヘルス患者学なのです。
野球やサッカーと同じで、
別に10対0で完封、叩きのめす
ことを期待するのではなく、引き分けを愉しんだり、
せめて一点差でよい・・・そうした、しなやかな発想です。

もちろん、患者学とは、
いまだ医学の分野では確立されていませんが、
この長寿難病時代には、
やがて学問的にも無視できない【領域】となってくると思います。


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2006年7月16日(日)

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