第1418回
なぜ「ガン患者学」が大切か?
新聞の訃報記事を見ると、
大半が、さまざまなガンが原因です。
あれだけ活躍していたスポーツ選手や芸能人、
政治家、財界人が次々と倒れていくケースを知るにつけ、
まさにガンは「明日はわが身」。
他人事では済まされない
国民的課題になっている現実を実感します。
しかし、このコラムでも何度も書いていますように、
ガン対策基本法などが法制化されたとはいえ、
それこそ患者実態に見合った
「骨太の対策」など
ほとんど講じられていないのも現実です。
拡大手術や大量抗ガン剤で、患者を苦しめる治療が、
いかにも「最新治療」のように喧伝され、
ガン患者の救済に貢献するどころか、
「ガンそのものではなく、過度の治療で亡くなって行く」
患者さんがますます増えているのではないでしょうか?
こうした長寿災難時代には、
己のいのちは己で創る――、
スローヘルス患者学の知恵を磨くことが、
ひとりひとりの人生を築くだけでなく、
家族の幸せにも欠かせないことになってきたと思います。
なぜ「患者学」を持つことが大切か?
もう少し、話を進めてまいります。
「患者学」とは、一部の担ガン者ジャーナリストの間から
提唱されてきたもので、文字通り、
患者中心の医療を実現したいという
患者サイドに立ったガン治療研究の新しい領域です。
経済学でも経営者サイドだけでなく、
消費者サイドからの消費者経済学の分野があるように、
医療の分野でも患者学の確立が急がれています。
たとえば医師、病院の選択の問題として、
日本でも「インフォームド・コンセント」(説明責任)
「セカンドオピニオン」(第二の意見)
という制度が輸入され、
さらに「ドクター・ショッピング」(医師の選択)
「ドクター・ハラスメント」(医師の患者いじめ)
という発想が普及したのは
患者学の確立が見直されてからのことです。
ともすれば、患者を機械部品のように扱う
「修理マニュアル化」が病院では常識化しています。
なかには「ガンそのものではなく、
間違った治療」でいのちを落とすケースも多発しています。
旧弊の医療制度、医局制度に固執している
医療サイド、医学サイドの壁を打ち破る、
大きなカギを「患者のいのち発想」=
「患者学」が握っているといって過言ではないと思います。
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