第1372回
安保徹教授は21世紀のガリレオ?
先日、「こころとからだの免疫学」というセミナーがありまして、
久しぶりに、「免疫革命」など
多くの著書でおなじみの
新潟大学大学院の安保徹教授にお会いしました。
数年前に、僕たちスローヘルス研究会の懇親会にも
講師としてきていただいたことは前に書きましたが、
ガンやアトピー、リウマチのような慢性疾患、
いわゆる生活習慣病は、
手術や抗ガン剤といった対症療法だけでは解決しない。
心身の免疫力を挙げて自然治癒力を高ることが、近道だという、
免疫力の仕組みを数々の論文で発表して話題となりました。
さて、このセミナーは、5月20日、
東京新宿の明治安田生命ホールで開かれたもので、
ちなみに主催したのは、
乳酸菌生成エキスの「智通」「ラクティス」の発売元
(株)B&Sコーポレーション※1です。
話の主題は「免疫力を高めて、生き方を変えれば
どんな病気でも治る」という安保先生の持論ですが、
「乳酸菌生成エキスによる腸のNTK細胞の活性化」
という、安保教授のマウス実験に基づいた論文も発表されました。
NTK細胞とは免疫の働きを調整する特殊なリンパ球で、
「いろいろな病気からの脱却が整う」とするもので、
論文はヨーロッパの医学雑誌
「イミュノロジー・レター」に掲載されました。
このコラムの読者の皆さんにも、安保教授の理論に共鳴して、
いろいろと生活習慣を変えながら、
ガンやリュウマチと闘っている人も多いと思いますが、
当日の話も、難しい免疫学の仕組みと、生活習慣の改善が、
いかに難病治療に役立つか?を、
あの独特の話し方で解説するわけで、
会場は、なごやかな笑いに包まれていました。
安保理論を端的に言いますと
「人間の体の自律神経が、
白血球=“顆粒球とリンパ球”のバランスを支配しており、
すべての病気の根源は、
自律神経=“交感神経と副交感神経”のバランスが
崩れることによって起こる」というものです。
その関係を図式化すると以下のようになります。
・交感神経の優位支配→顆粒球増加・血管収縮を促す
・副交感神経の優位支配→リンパ球増加・血管拡張を促す
・交感神経=心拍数と血圧を上げ、消化管の働きを抑えて
体を緊張、活動モードにする。行き過ぎるとガンなどになる
・副交感神経=体を休息モードに切り替える働きがあり、
心拍数や血圧を下げ、消化管の分泌を活発にする。
もう少し症状に合わせて、ガンやアレルギーとの関係を見ると
「健康な人間は顆粒球とリンパ球が6:4くらいの比率だが、、
リンパ球が35%を割ると顔色がすぐれない、
30%を割ると早期ガン、20%近くになると進行ガンの世界に入る。
逆にリンパ球が45%以上になると
蕁麻疹や痒いといった過敏反応が出る。
40%を超えると確実にアレルギーの世界に入る」
という解説になります。
では、どうすればよいのか?
たとえば、ガンの人ならリンパ球を上げる、そのためには
副交感神経優位の状態にわが身をもっていけばよい・・・、
食事、笑い・・・なんでよいから、ストレス解消でリラックスさせる
ライフスタイルに変えれば、
クスリなんかに頼ることはないというわけです。
「いまの病院の対処療法では病気を治すことは出来ない」
「免疫力を上げて、生き方を変えればよろしい」と断言するのです。
免疫学者・安保徹教授の画期的な理論は、学界はもちろん、
多くの患者から見ても「いのちの仕組み」の謎を解き明かした、
21世紀のコペルニクス的、
いや、ガリレオ級の大発見だと、僕は思います。
この日も、一般の人にわかりやすく、
ちょっと愛嬌のある話術で解説しておられましたから、
慢性疾患や不定愁訴になやむ女性から、たくさんの質問が
安保教授に寄せられたことはいうまでもありません。
※1 http://www.chitsu.co.jp/
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