第1371回
病院は「いのちの広場」になっているか?
いま発売中の季刊「いのちの手帖」で話題となった、
巻末大特集・30ページの再録抜粋の続きです。
ホリスティック医学の権威・帯津良一医師と、
中国漢方の第一人者である王振国医師による
「もうひとつある ガンの治し方革命」という
6時間の対談で「なぜ、漢方が見直されるべきか?」
「薬とエビデンス(立証性)の問題点は?」
「ホリスティックな治療が見直されなければならないか?」・・・
こうしたガン治療の問題点が分かりやすく語っておられますが、
これからの「病院のあり方」についても大いに論議していますので、
その部分の見解を続けて再録しましょう。
*
王 私や帯津先生が病院で実践している治療は
中西医結合の方法ですね。
数値的なエビデンスより、1番大事にしている基準は、
まさに「いのち」そのもの、いま、多くの病院で軽視されている、
患者の「QOL(いのちの質)と「生存期間」です。
私の病院に来る患者さんも、
必ずしも、みんな、ガンの腫瘍が消えているわけではありません。
ある患者さんは、ガンが消えていないけれども、
ガンを抱えたまま、10年、20年、健康な人と同じように、
元気に明るく、仕事しながら生きている。QOLも非常に高い。
これは、とても価値のある治療成果だと考えています。(略)
ですから、私たちが実践している中西医結合の方法で
治療を組み合わせていけば、ガンの増殖を押さえ、
一方で、患者さんの体質も向上させ、
抗ガン剤の副作用で減った体重も戻る・・・、
まあ、こうした治療が理想であります。
私の病院の治療なら、その過程で、
自分の食べたいものも食べられる。
痛みもない。副作用もほとんどない。
患者さんから、なんでこんなに辛さがない治療ができるのだと
不思議がる声を聞きます。
帯津 病いの中にあって、これまで通り、
自分らしく生きることを可能にしてくれるもの、それこそ医療です。
健康で生きることと、病気で生きることの間には、
境界線があってはならない。
長寿社会を迎えているいまこそ、
私たちは、よく生き、よく病み、よく死ぬ・・・
もうそろそろ人間本来の医療を取り戻さなければいけませんね。
王 わたしたちの病院では、必要があれば、
化学抗ガン剤も少々使いますが、体にダメージを与える、また、
全身に疼痛が走るような辛い治療を行わない。
漢方生薬から抽出した注射液を打ち、
点滴をした後には、皆で、レクリエーションですね、
談話室はもちろん、カラオケルームもあり、
皆で、歌を歌ったり、色々話をしたり出来ます。
家族揃って食事を楽しみたければ、
自炊できる大きな厨房もあります。
家族用の個室もセットします。
漢方浴SPAや美容室もありますから、
ここは自宅と同じ気分で暮らせるのです。(略)
局所治療から全身治療へ、
患者を実験動物のように扱う単一治療から
トータルライフを考えた治療、
つまり統合医療へと変らなければいけません(略)
帯津 ともすれば、ガン病棟に入院して、
苦しみと痛みに耐えることが
ガン治療と誤解している患者が多いと思います。
今回、王さんの病院を見学してよく分かりました。
玄関ロビーの内側には「患者之家」と
大書されているのが印象的です。
まさに、私も目指している、
患者、家族、医療関係者が信頼して作る
「いのちの場」としての病院が
実現されつつあるのには驚きました。
*
まさに、いまガン治療の現場では
QOL(いのちの質)を高める
ホリスティックな治療法はもちろん、
患者に希望のエネルギーをもたらす
「いのちの広場」としての病院が待たれているわけです。
詳しくは、季刊「いのちの手帖」の巻末対談を読んでみてください。
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