元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1355回
老化防止の知恵は伝統食にあり

なんといっても、
この長寿謳歌社会、いや長寿難病社会では、
「抗老化」(アンチエイジング)だけでなく、
「創延命」(スローヘルス)の考え方が
多くの人たちの注目の的になるはずですから、
もちろん、前に紹介した、
アンチエイジング医学のホルモン療法や
キレーション療法といった
最先端の点滴・注射療法が気になるところですが、
やはり、なんといっても大切なのは、
日ごろの食事法、養生法の積み重ねでしょう。

それも、いくら、町中のスーパーやレストランが、
肉食偏重、農薬まみれの西洋式食材で埋め尽くされているとはいえ、
この数千年、日本列島という、
特殊な風土の中で遺伝子を受け継いできた日本人は、
一朝一夕にアメリカ人に生まれ変わることはありません。

いや、むしろ、
アメリカ式の高たんぱく、高脂質の過食、
また甘み飲料の過飲、
そして、化学添加物、農薬の摂取が、
日本人を慢性的な生活習慣病に追い込み、
高齢化社会特有の
ガン、糖尿病、心臓疾患などを抱えながら、
苦しみながら永らえている人が増えてきている
というのが現実です。

いまこそ、こうした長寿難病現象が蔓延する時代だからこそ、
「ガンと食事療法」
「老化予防とアンチエイジング医学」の研究がなされ、
多くの人たちが注目しているのだといえましょう。
そうした意味でも、
日本で始めて開かれる
アンチエイジング国際シンポジウム2006には 
期待をしているのですが、このコラムでも、
また詳報をお伝えするつもりですが、
今回は、もう少し身近な食事法について、
日本や中国の食養生法の知恵から、
学ぶべきことを学んでおきましょう。

先日、うちのカミサンが、デパートの物産展で
美味しい「栗蒸し羊羹」※1を買ってきました。
石川県、松葉屋という老舗のもので”月よみ山路”という名前です。
大きな能登栗がつまっていて、どこから切っても
あたかも満月が闇夜に浮かび上がっているように見える
というので、”月よみ山路”という名前がついたらしいのです。
それはともあれ、この羊羹の自然でやさしい甘みの秘密は、
上質の葛を竹の皮に包んで蒸したところにあるそうです。

ちなみに、葛は薬用には根を用い、葛根(カッコン)といいます。
風邪の漢方薬「葛根湯」として有名ですし、
胃腸の具合の 悪い時には温かい「葛湯」として飲みます。
根からは葛粉(くずこ)と呼ばれる
でんぷんが作られ、昔から葛餅や葛菓子が作られてきました。
西洋栄養学からみても、葛の根にはイソフラボン誘導体である
ダイゼイン・ダイズイン・
プェラリンーキシロイドなどが含まれており、
発汗、解熱、鎮痙作用があります。
また、イソフラボンは血中コレステロールの低下に役立ち、
体内カルシウムのコントロールを助けるので、
骨粗しょう症や更年期障害などに有効と言われ、
とても身近な老化予防食でもあるわけです。

もちろん、コレを食べれば「ガンが治る」とか
「若返る」と短絡的なことは申しませんが、
古来から伝わる、身土不二(風土とからだは一体)
という食養の知恵の通り、
最新のアンチエイジング医学の薬やサプリに頼るだけでなく、
葛、玄米、胡麻、山芋といった
伝統食も大いに見直すべきときなのです。


※1
http://www.geocities.co.jp/Foodpia/7695/omeza/matsubaya.htm


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2006年5月13日(土)

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