第1354回
西洋栄養学クイズ番組を笑え!
日本で始めて開かれる
「アンチエイジング国際シンポジウム&エキスポ東京2006」
(AISET2006)の
ワークショップ・プログラム(参加型の講演) 中で、
とくに「アンチエイジングと食事療法」について聴いてみたい――、
西洋医学の栄養療法と
日本や中国の伝統食事法の間には、
それぞれの栄養バランスの考え方=「モノサシ」に
一長一短がある――、という話の続きです。
いま、日本の栄養学は西洋一辺倒ですから、
ほとんどのテレビ健康ワイド番組は、
主力が、西洋栄養学のモノサシを装った、
「抗ガン、抗老化」の食品宣伝となります。
たとえば、代表的な西洋栄養学の
「抗酸化成分と食品」の分類表は以下のようになります。
●ポリフェノール=緑茶 赤ワイン チョコレート ココア
●コエンザイムQ10=レバー アボガド ピーナッツ いわし
●葉酸=小麦胚芽 ナッツ類 豆類 レバー
●ビタミンE=アーモンド ごま ごま油
●亜鉛= 赤身の肉 牡蠣
●セレン= あじ かつお いわし 牡蠣
●βカロテン=緑黄色野菜 海藻 緑茶
●ビタミンC=いちご トマト ブロッコリー 柑橘類
●アリシン=たまねぎ ニンニク
●イソフラボン=大豆、納豆
●フラボノイド=ミカン緑茶
●ルチン=蕎麦 ほうれん草
●グルタチオン=アボガド ホウレン草 ビール酵母
●リコピン=スイカ トマト
テレビに出てくる栄養士と司会者が、
まるでクイズもどきに、こうした横文字の栄養成分をまくし立てて、
コレを含む商品をバランスよく食べれば、
「ガンにもならず」「老化も防げる」と声高に叫びますから、
早とちりした主婦たちが
勢い、巷のスーパーに出かけて行って、
突然、緑茶を買ったり
爆発的に赤ワインが売れたりする・・・、
異常なショッピング現象が起こったりするわけです。
ま、そう、むやみに驚いたり、
早とちりすることもないわけで、せいぜいが、
ここにあげた「抗酸化成分と食品」の分類表を
取替え、入れ替えて、
日々の健康長寿番組が作られているわけですから、
これ1枚をテレビの前にでも貼り付けておいて、
短絡的なテレビ番組の「馬鹿馬鹿しさ」を笑うことも
ストレス発散の「ガン予防」「老化予防」
になるかもしれません(^0^)。
冗談はともあれ、このコラムで何度も書いていますように、
人間のいのちや、ガンといったミステリアスな病気は、
西洋栄養学を装ったテレビ番組のように
そう単純に防げるものではありません。
体質や症状に合わせて、
それぞれの効果が違うわけです。
その意味では、人間の体質や食品を
「陰と陽」という全体バランスで分類した、
東洋の薬食同源の食事学にも一理があることになります。
医学のみならず、栄養学にも
西洋・東洋の統合栄養学が見直されてきている所以です。
その点、カリウム、ナトリウムの成分比率を分析して、
もっとも栄養バランスのとれた食品を玄米とし、
いろいろな食品を「陰と陽」の条件で食品を分類した、
マクロビオティックは、
まさに統合的栄養学の一端を担っていると
僕は考えているわけです。
|