第1353回
食事学=「東洋と西洋」の統合は?
日本で始めて開かれる
「アンチエイジング国際シンポジウム&エキスポ東京2006」
(AISET2006)の
ワークショップ・プログラム(参加型の講演) 中で、
とくに「アンチエイジングと食事療法」について聴いてみたい――、
西洋医学の栄養療法と
日本伝統の玄米菜食法の間には、
栄養バランスの考え方=「モノサシ」に
根本的な発想の違いがあるはずだ――、
という話の続きです。
西洋栄養学は、食品の成分を分析して、
その栄養素から誰が、どんな条件で飲んでも効くか?
いわば、細分化、普遍性・客観性の
「モノサシ」で分類する学問です。
一方、日本や中国の食事法は
人の体質や性別、さらにいろいろな条件によって、
消化吸収のされ方が違うという
いわば、全体性、経験則性、実利性の
「モノサシ」を基にして分類しました。
ですから、西洋栄養学に基づいた栄養士が
「牛肉には動物性タンパク質があるので体力増強にはいい」
「抗酸化物として有効なポリフェノールを含むお茶は
胃ガンの抑制に効果あり」などと、盛んに、
テレビのワイド番組に出てくる解説し、
参加している主婦たちが「ふーん」と感心し、
帰りのスーパーで、牛肉やお茶を買って帰るという、
ショッピング効果?まで生むことになります。
西洋栄養学の成分分類のモノサシ=正体は、
このようなものですから、
一見、機械論的、合理論的で分かりやすいのですが、
現実に、こうした科学的な根拠と証するものが
はたして、万民に通用するかどうかは
疑問として残っているわけです。
一方、日本や中国の伝統食事法では、
食医などの主観が多くなりますから、
西洋医学に比べると
客観性が薄いと敬遠されることにもなります。
要は、どちらの学説が正しいかどうかは、
それで生計を立てている栄養士、治療師、医師の問題で、
僕たち患者の問題ではありません。
老化が防止されたり、
ガンの再発が防げるような体質を
獲得できればどちらでもよいわけで、
いわば、自分の体調や体質といった経験則を
患者自身がしっかり掴んだ上で、
西洋栄養学、東洋食事法の知恵を応用するのが、
賢い「栄養患者学」だと僕は思っています。
胃ガンの心配がある人が、
ポリフェノールを含む緑茶
赤ワインを飲んでみるのもいいでしょうし、
自分が痩せ型というか陰性の体質だと思ったら、
陰性の強いチーズやコーヒーなどは控えめにした方がよい・・・
といった風に考えればよいわけです。
といったわけで、
アンチエイジング国際シンポジウム2006での
栄養学の講師が、どう人間主体の「抗老化」「延老化」そして
「創延命」の期待にこたえてくれるのか?
いったい、東洋と西洋の栄養学の統合をどう考えているのか?
ちょっと、そうした視点も
僕は楽しみにしているわけです。
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