元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1293回
邱さんの「一生書生」

インドの産業視察ツアーから、
すっかり日焼けして帰ってきた邱永漢さんにお会いして、
ますます「不老パワー」を実感した話の続きです。

3月30日で、82歳を迎える邱さんにお会いすると、
誰でもが元気のパワーを感じるのは、
ただ、先生が坑加齢剤やビタミン剤を飲んで、
体だけが丈夫であればよし
と考えているからではないと思います。

見るもの聞くもの、
人生の隅から隅までを愉しみつつ、 
ビジネス発想に変える――、
この「からだ」「こころ」「いのち」そして「頭」の働きを
絶えず上手に調和させる、
若々しい処世法を持続しているからだと思うのです。

「からだ」「こころ」「いのち」の
つながりとバランスを図るという考え方は、
僕の信奉している全人間的な医学=
ホリスティック医学の真骨頂であり、
ホーリズムの概念思考に近いと思うのですが、
82歳の邱さんの笑顔をみていると、
まさに元気に長生き、ときめいて人生を愉しむ、
邱式のアンチエージングのヒケツを感じます。

もちろん、邱さんは中国の古典に詳しい作家ですから、
中庸を大切にし、バランスの取れた人生目標を表す、
中国の金言を大事に心に刻んで、
「元気で長生き、ときめいて生きる」
パワーの源泉としているようです。

このHIQの中にも、
中国株やビジネス情報の人気コラムのほかに、
邱さん解説の「金言名句」というコーナーがありますので、
楽しみに読んでいる人も多いと思います。

「必要は発明の母、偶然は成功の父」
「夢多銭少」といった先生の起業実感を込めた金言から、
孔子や荀子など古典の諺も出てきます。
さいきんでは荀子の「☆而不舍」――、
くさびを打ち込んだら、つまり、
“一旦やるときめたら”初志を貫く――、
という諺をあげておられました。

そして、こんど、
僕たちが創刊した季刊誌「いのちの手帖」にも、
この金言集から
「一生書生」というタイトルを引用して、
「一生書生――糖尿病の人は頭を使え」という
養生エッセイを寄稿していただきました。
“どんなに年をとっても、
 また社会的地位のある人になっても
 学生時代の一途な生き方を持ち続けることが大切だ”
という意味です。

邱さんが82歳にして、
いかに心身のバランスを上手く図っているか?
いかに「不老パワー」を持続しているか?
その所以がよく分かります。

興味のある人は「いのちの手帖」の創刊号に掲載された
特別エッセイを読んでみてください。
とくに、糖尿などの美食病に悩んでいる
中年の読者には、健康法ばかりか、
人生の過ごし方についてもヒントが得られるはずです。


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2006年3月12日(日)

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