第1230回
ガンの放射線治療と気功
前回、「がんを治す 在宅療法大事典」
(帯津良一・編著)から抜粋して、
ガンの患者が心得るべき
「抗がん剤使用時の気功」について
解説しましたが、
今回は「放射線治療時の気功」の話です。
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●放射線治療時の気功
がん細胞は正常細胞より
活発に分裂を繰り返します。
そして放射線は、
分裂が盛んな細胞をより殺傷する特徴があります。
しかも、がん細胞は正常細胞と異なり、
回復する能力を持たないので有効なのですが、
正常細胞もダメージを受けるので、
その照射された部位により、
それぞれ脱毛・口内炎・食欲不振・
下痢・膀胱炎・唾液分泌低下・間質性肺炎などの
副作用も生じます。
広範囲の骨に放射線をかけた場合は、
白血球の減少がみられることがあります。
また毛細血管も障害を受けるので、
血流障害が生じ、
それによってさまざまな組織に問題が生じます。
これらの副作用に対して
抗がん剤の場合と同様に、
気功はかなり有効な手段となりえます。
ただ単に副作用をコントロールする
という意味だけでなく、
放射線や抗ガン剤のように
「敵を攻撃する」という方法と
抱きあわせるべきものとして、
体全体の治癒力を引き上げる方法論として、
気功は重要な意味をもっています。
具体的な功法選択とツボ療法については、
前述の「抗がん剤使用時の気功」に準じますが、
最も問題なのは全身的な消耗です。
これに対しては、良質な睡眠をとることが
特に重要なので、功法としては、
放松功や荘子の聴息法などが特に大事です。
西洋医学がもちあわせない
「体全体の治癒力を引き上げる」という視点にこそ
気功の存在価値があるといえます。
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ちなみに、「荘子の聴息法」は、
『荘子』に掲載されているもの。
練習は坐位から立位で行なう。
「聴息」とは、まず自分の意識を呼吸に向ける。
その状態を保持していると
呼吸も自然に深く細く変化し、
意識状態も半睡眠のような感覚に変性していく。
そのうち、意識と呼吸が一体となり、
何もわからない心地よい状態に入る。
その状態を維持し、終了するときは手をこすり、
顔をこすってすっきりと目をあける。
就寝前に行なうときは、
こすらずにそのまま眠ってしまう――という効法。
「がんを治す 在宅療法大事典」(帯津良一・編著)には、
気功師・鵜沼宏樹さんの
「わが家で出来る気功法」が、
じつに分かりやすく書かれていますので
ぜひ一読を奨めます
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