第1187回
気功は「自然治癒力」を養う鍛錬法
帯津良一医師・編著の近刊、
「がんを治す 在宅療法大事典」の中で、
気功師の鵜沼宏樹さんが、
分かりやすく解説している
「気功とは何か?」の話の続きです。
気功とは、古来中国に伝わる
自然治癒力を養う鍛錬法だということは、
前回、説明しましたが、
ただ、呼吸をし、舞技を演ずればよいと
言うものではありません。
そのあたりの「体、心、呼吸」の
ホリスティックな奥義について、
鵜沼さんが、
中国の古典を引いて解説していますので、
日々の呼吸法を効果たらしめるためにも
参考にしてください。
*
中国の古典をひもときますと、
気功は古来から、
中国の医療を支えた重要な構成要素で
あったことがわかります。
現存最古の中国医学の経典である『黄帝内経』には、
「遠き古代の人で、道を知るものは、
陰陽の法則に則り、各種の養生法に親しみ、
飲食には節度があった。
そして、寝起きは規則正しく、過度の疲労は避けた。
したがって心と体がうまくひとつに調和し、
天寿を全うすることができた」
というくだりがあり、
特に気功と関連のある
養生法の大切さを指摘しています。
さらに
「欲望がなく静かで虚無の状態であるなら
真気(生命活動において最も根源的な気)は順調に巡る。
精神を内に守って消耗しなければ、
病などどこからくるというのか?」
と語りかけ、気功のトレーニングという一場面、
あるいは生活全般にわたっていえる
心理調節の重要性を説いています。
また、漢代の名医で医聖と称される張仲景は、
その著書『金匱要略』のなかで、
つぎのように述べています。
「四肢が重くて滞っていると感じられたなら、
すぐに導引吐納、針灸、膏薬、按摩などを用いて、
九竅(五感に関係する7つの穴プラス大小便の穴2つ)が
閉塞しないようにしなければならない」
このなかの導引吐納はいうまでもなく、
気功の古い呼び方です。
このように古来より
中国人の健康を支えてきた気功ですが、
現在の中国においては、
病院のなかにある気功科、
朝の公園での青空気功教室、
あるいは気功講演会などの形で
その流れは受け継がれています。
こういう状況を把握すると、
気功は中国伝統医療のなかの重要な
一部門であるという認識を得ます。
*
いま風に解説すれば、
「ホメオスタシス(恒常性の維持)、
あるいは免疫も含めたうえでの
自己の秩序性を保とうとする機能」が
気功の効用であるというのです。
興味の湧いてきた人は、
「がんを治す 在宅療法大事典」を読んで見てください。
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