元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1115回
「手」ごたえのある一冊

メディアの低劣化とは、
まさに世相=世の中の嗜好を
反映しているわけですから、
これがエスカレートすると、
本屋さんのコンビニ化?
いや「バカの鏡」屋さんと化すことになりかねません。

ま、もちろん、版元も本屋さんも
そうした“自縄自縛”はよくわかっておりますから、
行く末は「餅屋は餅屋」に任せるとして、
こうしたレベルダウンの時代だからこそ、
逆に考えれば、
読書好きな読者にはチャンスと考えましょう。

「砂漠で真砂を探す」――
そうした愉しみが満喫できることになります。
古本屋ばかりか、
ブックオフなどの新古本屋さんでも、
もちろん、アマゾンなどの
ネット書店の散策を、
より一層、楽しんでいる人もいるでしょう。

ちなみに、僕の主治医で、
本好きの帯津良一さんから、
こんな話をきいたことがあります。
「いまは止めてしまいましたが、
 私は、昔、死ぬ前にじっくり読む本を選んで
 しまっておいたことがあります」と。
僕の敬愛する作家の安岡章太郎さんは、
胆嚢手術の長期入院のときに、
たしか中里介山の大長編小説
「大菩薩峠」をじっくり再読して、
退院してから「果てもない道中記」
(上巻・下巻)という大著を
書き下ろしたと聞いています。

僕も、入院したいときに読もうと思っている
長編小説が数冊ありますから、
みなさんにも、じっくり読みたい
名作、名著の類は
いくつか持っておられるかもしれませんが、
新刊書ではどうでしょうか?
「これは秋の夜長にじっくり読めそうだ」
という本には
なかなかめぐり合うのが
難しい世の中になってしまったようです。

――と、ブツブツいいながら、
宮崎市定という歴史学者の名著
「アジア史論」(中公クラシックス)を再読しているとき、
400ページを超える分厚い本が一冊、
ドスン!と、わが家に送られてきたのです。

封を開けてみると、
「手の五〇〇万年史―手と脳と言語はいかに結びついたか」
というタイトルの、
なんとも、読みごたえ、
いや、ひさびさに「手」ごたえのありそうな本が
出てきたではないですか?


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2005年9月15日(木)

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