元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1023回
「食の習慣」「住まいの習慣」

たまたま、パーティのお土産にいただいた
タウン誌「神楽坂 まちの手帖」を読んでいたら
久しく会わなかった
知人の志村剛さんのエッセイに遭遇して
「ちょっと素敵な活動」を続けている
ということを知った話の続きです

そのちょっと素敵な話とは、
花柳界・神楽坂の歴史の佇まいを残す、
芸者置屋を一軒、譲り受けて修復し、
後世に保存しようという話です。

志村さんは思い立った契機について、
以下のように書いておられます。
「引き継がせていただいたのは、
 数年前のことであるが、
 お家を拝見した折りに、
 使い込まれた柱や廊下、
 唐傘天井のお部屋と源氏襖など
 この「家」のこだわり
 人生越し方を強く感じた」

長年の風雨にさらされて、
果たして補修が出来るのか心配したそうですが、
知り合いのベテラン大工さんと
入念に打ち合わせして、
「床・根太・大引・床板を取り替えれば、
 数十年単位で保存可能と判断」
なんと18職の職人さんに頼んで、
「とことん気の済むまで手を入れた」というのです。

屋根瓦一枚、木の端切れもとっておき、
「生かせるものはすべて生かし、
 大事、大事にと仕事は進められ」
内部の改造も出来たそうです。
奥の部屋のキッチン、ダイニング、
バス・トイレの水まわりは新しくし、
生活の場としても使えるように改装。
居間からは
「雪見障子を通して、火燵で庭が眺められる」
いまは、奥さんと二人で、
この由緒ある家屋を
「生き生きと」使って楽しまれているようです。

ともすれば、古いものは捨てよ、
古いものは壊せ、という再開発の風潮の中で、
これだけのことを出来る人はなかなかおりませんね。

あまりの素晴らしさに、
早速、手紙を書きました。
志村さんから返事が来ました。

「お恥ずかしいような
 市井の片隅での出来事でございます。
 組み立てハウスのみになってしまいかねない昨今、
 家を建てるという住居の原点を私なりに感じたことを
 記してみました。
 この補修、保存を通じて、
 日本人が日本の気候、風土の中で
 住むということを
 投げ出してしまったのではないかとの思いを持ちます。
 これは衣でも、食でも同じようなもので、
 どこかで日本人が日本人を取り戻さないと
 通用しなくなってしまうのではないかと考えたりします」

ほんとうに素晴らしい発想であり、実践ですね。
志村さんは、スローヘルスの会で、
日本人らしい「食の習慣」を見直す活動を
共有している仲間ですが、
僕たちが、つい忘れがちな「住まいの習慣」について
教えられたことになります。
まさに「温故知新」「身土不二」という日本人らしい発想を
思い起こさせてくれた一文でした。
あなたはどう思いますか?


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2005年6月15日(水)

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