第753回
ダライラマはどんな治療を受けるのか?
チベット医学の再興を図る医師、
アムチ・ギャッツオさんの講演会で熱心に交わされた
質疑応答の続きです。
みんなの質問はまず、
いまチベット医学では
西洋医学をどう考え、
どう活用しているかということに集中したようです。
Q:いまのネパールの中心的医療は何か?
A:西洋医学。
Q:チベット医学と西洋医学との関係は?
A:ラサのチベット医学病院では、
レントゲン、スキャンを使っているが、
西洋医学の検査の技術はすばらしい。
チベット医学も西洋医学の良い技術、
診療法は取り入れていくべきだと思っている。
Q:チベット医学に外科治療はあるか?
A:昔、スルカワという名医が、
母親の外科手術に失敗し、
それ以降手術用具を廃棄し教えることもやめた。
西洋医学の外科手術は発達しているので、
いまでは、チベット人は手術を受けるケースが増えている。
Q:中国医学との関係は?
A:ソンツェンガンポ王の王妃として
チベットに来た文成公主が中国医学を、
ネパールから来たブリクティが
インド医学を持ってきた。
従って中国医学、アーユルベーダ(インド医学)
両方の影響を受けている。
8世紀、ユトク・ユンテン・ゴンポが
インドで医学の知識を集めチベット医学として集大成した。
Q:ダライラマはどんな病院にかかるのか?
A:チベット医学、
西洋医学両方の治療を受けている。
西洋医学の検査の技術はすばらしいので、
併用していくべきだと考えている。
ラサのチベット医学病院では、
すでに西洋医学の検査が行われている。
チベット医学というと、日本ではなにか
奇跡の呪術のように捉えている人が多いと思いますが、
現実は随分違うのです。
むしろ、ホリスティック医療の組み合わせが
盛んに研され、
実施されていると思ったらよいと思います。
|