第730回
医者も患者に学ぶべき時代がやってきた(その2)
いま発売中の
「月刊がん もっといい日」(日本医療情報出版)に載った
土屋繁裕医師と僕の
「医者も患者に学ぶべき時代がやってきた」という
対談記事の続きです。
「良医や仲間との出会いが“情報戦”の武器になる」という
ガン治療選び、病院・医師選びの部分を抜粋引用します。
*
関根:僕はよく、
「がんは、養生第一、仕事は第二」って言うんです。
がんになったら、仕事を第一にするな、と。
病院を出て3年、4年と経つうちに、僕が感じたことは、
患者が本気になって情報収集や治療に時間を割いて、
家族や友人も巻き込むくらいの総力戦でかかっていけば、
がんになってもだいたい助かるんじゃないかな、
ということです。
この間、ある患者仲間が、
「僕は養生の合い間に仕事をしてます」と言っていて、
うまいこと言うなと思いました。
少なくとも最初の3年間は、
「養生第一、仕事は第二」の心構えで、
家族も巻き込んで食生活などの生活習慣を見直して、
養生する。それで3年経つと、
「これでよかったんだ」と、自信と知恵がつくはずです。
土屋:たしかに、がん治療というのは、
手術や、抗がん剤治療だけではない。
食事をしても薬になるし、本を読んでも薬になる。
誰かに話を聞いてもらうだけでも薬になります。
そういういろんな薬があるなかで、
家族の力というのが非常に大きいと思いますね。
奥さんや娘さんなど家族が一緒になって
養生に取り組んでいる患者さんは、
やはり予後がいいです。
関根:再発した患者さんや僕のような再発予備軍は、
さらに代替医療も含めて、
広い選択肢を考えるべきだと思います。
僕は再発こそしていませんが、
退院後6年の間にはいろいろ紆余曲折があったし、
いまも節々が痛んだりすると、
「転移したんじゃなか」と不安になります。
だけどその都度、土屋先生をはじめ、
漢方の先生や気功の先生など、
自分にとっての「良医」と巡り会うことで
乗り越えてきました。
再発や再発予備軍の患者にとって、
西洋医学という一つの選択肢に縛られることは
ストレスになります。
西洋医学と東洋医学の「いいところ取り」をして、
治療法のカードをたくさん持っていたほうが
「得ですよ」と声を大にして言いたい。
土屋:代替療法は、確率は低いにしても、
助かる患者さんもいることは事実ですし、
その患者さんにとって相性がいいものなら、
心のケアにもなると思います。それから、
再発に関しては、再発を経験した患者さんのほうが、
下手な医者よりは役立つものです。
治療で上手くいった患者さんのまねをすることも重要です。
関根:再発や再発予備軍の患者にとっては、
代替療法の先生や先輩患者など「人」との出会いが、
情報戦の武器になりますね。
*
この対談部分は
「患者はしたたかに「安心カード」をたくさん持て」という、
近刊共著の「医者と患者で作った ガン治療入門」でも
土屋医師と書き下ろした僕たちの主張ですが、
やはり「ガン情報戦に克ち、しっかりと命を拾う」――
これがガンに負けない、賢い患者の知恵なのですね。
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