第729回
医者も患者に学ぶべき時代がやってきた(その1)
いま発売中の
「月刊がん もっといい日」(日本医療情報出版)に
賢い患者になるための
「ガン情報」活用法の大特集が載ったのですが、
その中で取り上げられた、
土屋繁裕医師と僕の
「医者も患者に学ぶべき時代がやってきた」という対談記事を
少し紹介しますので、
治療の選択、医師・病院選びで悩んでいる方は
ぜひ参考にして下さい。
まずは「医者に質問するために患者はまず情報武装を」
という賢い患者心得の話です。
*
関根:幸か不幸か、食道がんを切らずに、
延命6年目を迎えました。
僕の場合、がん闘病でわかったのは、
「がんは情報戦であり、総力戦だ」ということです。
よくインフォームド・コンセントなんて言いますが、
現場の医者は忙しく、診療時間はせいぜい10〜15分。
説明不足もいいとこなわけです。
一方で患者は、がんなんて初めてなるから、
心の準備も、情報もない。医者に聞こうにも、
何を聞けばよいかもわからない――。
となると、患者が納得のいく治療を受けるには、
本やインターネット、口コミなどあらゆる手立てを使って、
家族や友人も総動員して情報を集めて、
医者に質問していくしかないわけです。
どんなに忙しい医者だって、
患者が真剣に質問すれば必ず答えてくれますから。
土屋:たしかに、医者は時間がないから、
必要最低限のことしか言わない。
そこで対話の「スイッチ」を入れるのは、患者さんです。
もしスイッチを押してもつかない医者なら、
能力がないと思えばいい。
僕はいつも「がん治療は命の買い物です」と話しています。
人生で一番高い買い物をするのに、
遠慮なんて必要ない。
もっと知りたがり屋さんになって、
わからないこと、知りたいことを
医者に聞くべきです。(略)
関根:がんになってから1年、2年経てば、
「がんは不治の病ではない」とわかってきますが、
最初はどうしてもあせってしまう。
「そんなにあわてて治療しなくても、
よく考えてからで大丈夫だよ」
と言ってあげたい。
土屋:自分で情報収集して勉強することは、
がんに対する恐怖心を軽くするという意味でも重要です。
「自分がいま、何のために、どういう検査を受けているのか」
「どんな治療法があるのか」をちゃんと理解すれば、
がんをむやみに怖がらなくなります。
とはいっても、患者さんにとって医療の専門性の壁は高く、
がんを一から勉強するのは大変なことです。
本やインターネットである程度の知識をつけたら、
主治医だけでなく、
いろんな病院のいろんな医者に治療方針を聞くこと、
つまりセカンドオピニオンを求めることが、
より現実的ながんの勉強法になると思います。
|