第571回
「進行ガンでも切らない?」
厚生労働省研究班の調査でも
食道ガンの「切らない治療は有力だ」
という結果が出ているようですが、
頑固な外科医の中には、
「早期のガンなら内視鏡手術や内科的治療も
験されるべきだろうが、
進行したガンは無理だ」
と強調します。
まだまだ多くの病院では切らない治療は
軽視されているのが現状でしょう。
たしかに、僕の場合も、このKさんの場合も、
食道ガンの進行度が2期〜3期です。
ガンが進行してしまうと、
「切らない治療」の確率は相当に低くなるのでしょうか?
いや、別の日付の毎日新聞には
こんな記事も載っていました。
国立がんセンター東病院の
大津敦・消化器内科医長の報告です。
食道ガン患者を抗ガン剤と放射線療法の組み合わせで
治療した結果を発表し、
「消化器のガンでは、
抗ガン剤は生命を延ばせないと批判されてきたが、
今はそうでもない」
と説明しています。
この治療を1992年から2002年までに受けた、
中程度の進み具合の食道ガン患者・
53人の5年生存率は45%。
同時期に手術を受けた患者45人の48%と
大差はなかった――
つまり手術に匹敵の効果も出ているというのです。
現実に築地や千葉の国立がんセンターでは、
1/3近くの患者さんが
「切らない治療」を選択しているようです。
さて、僕のところに相談に来たKさんには
「ガン宣告即=死ではありません。
また切るにしても、
1〜2ヶ月、抗ガン剤と放射線治療の併用で、
腫瘍を小さくすることになりますから、
まだ選択の時間はあります。
これからの決断が後半生を決めますから、
じっくり勉強して決めましょう」
と申し上げておきました。
できれば切らない選択を!
僕は心の奥では願っています。
|