第27回
温泉の3つの効果
日本では、温泉を利用して病気を治療する「湯治」が、
古くから行われてきました。
その効果は、医学が進んだ現代でも高く評価されています。
では、なぜ温泉は体に効くのでしょうか?
温泉には、3つの効果があると言われています。
まず、「化学的作用」です。
温泉水には、いろいろな化学成分が含まれているため、
入浴することで皮膚に付着・吸収されたり、
ガス成分が呼吸によって吸引されることにより、
体に様々な薬理効果を生みます。
また飲用すれば、体内に吸収された成分が血液に入り、
効果をもたらします。
その効果がある症状のことを一般的には
「効能」と呼ばれていますが、
温泉法では「適応症」と表記されています。
2つめの効果は「物理的作用」です。
これには、3つの作用があります。
温泉の持つ熱により体が温められ、
新陳代謝の促進や自律神経の調整に効果がある「温熱作用」。
お湯の抵抗により、
筋肉などへのマッサージ効果や運動効果がある「水圧作用」。
首までお湯に入った場合、浮力により体重が
空気中の約9分の1になるため、
足腰や関節への負担が軽くなることで、
水中での運動が楽になるリハビリ効果がある「浮力作用」です。
以上が温泉そのものが持つ効果ですが、
温泉の持つ効果はこれだけではありません。
温泉の最大の効果は、
“温泉地へ行く”という行動、そのものにあります。
日常生活やストレスから解放され、
温泉地の美しい景色や自然を楽しみ、リラックスすることで、
心の健康回復に役立つ作用があります。
これを「転地効果」といいます。
温泉そのものが持つ化学的な効果や物理的な効果だけならば、
街中の温泉施設や人工的に作った入浴剤の風呂でも、
効能は得られるかもしれません。
でも転地効果だけは、
温泉地へ行かなければ決して癒やされない効能です。
まさにこれが、私の提唱する「心の湯治」なのです。
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