温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第22回
赤ちゃんプランが大人気

その昔、「温泉へ行く」といえば湯治に決まっていましたから、
どうしてもお年寄りのイメージが強かったと思います。
高度成長期以降は、こぞって企業が忘年会や新年会で
大温泉地を利用したので、サラリーマン、
それも中高年男性のイメージが定着しました。

バブルを迎え平成に入ると、大きな旅館やホテルよりも、
小さくてもオシャレで贅沢な宿がもてはやされるようになりました。
貸切風呂や露天風呂付き客室、
部屋出し料理を売りとする
俗にいう「デザイナーズ旅館」です。

ターゲットは、ずばり20代のヤングカップル。
これが大当たりし、
日本全国の温泉地にこの手の旅館が出現し、
温泉旅館のラブホテル化を招いたのです。
「若者はインター下りたら旅館に直行、一歩も外へは出ず、
翌日もコンビニ以外は脇目もふらずに帰ってしまう」と
地元温泉街では、あまり歓迎はされなかったようです。

さて、若者・中高年・お年寄りと
各世代に愛されてきた温泉ですが、
いつの時代でもある世代にだけは敬遠され続けてきました。
それは、「子育て世代」!
30代の赤ちゃん連れのファミリー層です。

「子育て世代はお金がないからと思われていましたが、
決してそんなことはありません。
だってディズニーランドには年に何回も行くじゃありませんか」
そう熱く語ったのは群馬県前橋市(旧宮城村)にある
赤城温泉「赤城温泉ホテル」
10代目女将、東宮香織さんでした。

彼女は自分の子育て経験から、
一番温泉で息抜きをしたい、子育て中の若いお母さんたちが
安心して行ける旅館が少ないことに気づき、
数年前から個室風呂が付いたメゾネットタイプの別館で
「赤ちゃんプラン」を始めました。

「小さな子ども連れだと、
どうしても他のお客さんの視線が気になります。
子どもが泣いても騒いでも安心な空間を提供したかったんです」

部屋には、赤ちゃんの布団や哺乳瓶、
温度の低いミルク専用ポットなど、
家にいるのと変わらない環境を整えました。
通常よりも宿泊料金が高い値段設定のため、
最初はなかなか認知されませんでしたが、
今では口コミとネットからの予約で、
休日は、ほぼ満室の状態が続く人気ぶりだといいます。

分け隔てなく、温泉をすべての世代の人に提供したいと願う
女将の愛情が、新しいスタイルを生み出したようです。

ただし赤ちゃんの肌は、とてもデリケートです。
若いお母さんたち、
刺激の強い泉質の温泉へ行くときは、気をつけてくださいね。


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2012年2月11日(土)

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