第14回
湯尻から湯口へ
浴室へ入るなり、そのままドボーンと浴槽へ入る人を見かけますが、
これは大変危険な行動であり、
他の入浴客に対しても失礼な行為と言えます。
温泉に入浴する際には、最低限のマナーを守りたいものです。
それは「かけ湯」です。
浴槽に入る前には、必ず体に湯をかけて、
汚れたところを洗い流しましょう。
洗い場のシャワーでも構いませんが、
かけ湯には体を湯に慣らすという目的もありますので、
なるべくならば、浴槽の湯を桶ですくって、
十分に体にかけてください。
最初は心臓から遠い足先から、そして下半身、
上半身へと何回かに分けて湯をかけます。
特に冬場は外気との温度差により、
心臓や脳の発作を招く恐れがありますので入念に行ってください。
さて、この後、湯に入るわけですが、
みなさんは浴槽のどこから入りますか?
銭湯や日帰りの温泉施設の大浴場ですと、
浴槽内の湯を循環させ、加熱しながら
温度を一定に保っている所が多いので、
必ずしも当てはまりませんが、
完全放流式(源泉かけ流し)の温泉の場合には、
ここにも大切なマナーがあります。
まず浴室に入ったら、湯の注ぐ所を確かめてください。
飲泉用のコップが置いてあり、熱い湯が出ていれば、
源泉が出ている証拠です。
これを「湯口(ゆぐち)」といいます。
これに対して、湯が浴槽からあふれ出ている側を
「湯尻(ゆじり)」といいます。
湯口は奥、湯尻は手前にあるのが理想です。
よって浴槽内の湯の温度は、
奥が熱く、中ほどが適温、手前がぬるめになっています。
体を慣らすためにも、
当然、湯尻から入るのがマナーです。
先客がいる場合は、なおのこと。
いきなり湯口側から入るのは、大変失礼な行為にあたります。
湯尻から湯口へ向かって、下流から上流へ体を慣らしながら移動し、
自分に合った湯温をみつけて、入浴するように心がけてください。
源泉100パーセントの温泉には洗浄効果があるで、
石けんで体を洗う必要はありません。
浴槽から上がった後も、せっかくの温泉成分をシャワーで
洗い流したりしないように!
(※ただし、循環風呂や塩素消毒をされている場合は
洗い流すことをおすすめします)
そして湯上がりは、水分を補給をして体を安静にしてください。
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