温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第13回
美人とは白き肌なり

時々、「美人の湯」なる看板を掲げた温泉を見かけます。
何をもって、そう定義しているのか、はなはなだ疑問なのですが、
どうも湯上がりに肌がツルツル、スベスベになる温泉のことを
言っているようです。

泉質で言えば、石けんのように洗浄効果のある
「アルカリ性単純温泉」
古い角質を柔らかくして肌の汚れを落とす作用のある
「重曹泉(炭酸水素塩泉)」
皮膚に薄い膜を作り紫外線から肌を守る
「硫黄泉」などが、多いように思われます。

これとは別に「日本三美人の湯」と呼ばれている
温泉があるのをご存じでしょうか?
和歌山県の「龍神温泉」島根県の「湯の川温泉」
そして群馬県の「川中温泉」です。

このなかで唯一、
川中温泉「かど半旅館」
だけが一軒宿です。

誰が、いつ、そう名付けたのかは不明ですが、
大正時代に発行さた『温泉案内』(鉄道省編)の効能一覧に、
「色を白くする湯」として上記の温泉地名が登場しています。
日本人にとって美人とは、
昔から美白の肌のことを呼んでいたことが分かります。

ちなみに3つの温泉に共通する美肌作用の条件は、
弱アルカリ性で ナトリウム・カルシウムイオンを含んでいること。

アルカリ環境の中で皮脂(肌の表面にある脂)は、
ナトリウムイオンと結びつくと洗浄効果をもたらし、
カルシウムイオンに置き変わると
ベビーパウダーのような作用があるといいます。
とりわけ川中温泉は、カルシウムイオンの量が多く、
湯上がりのスベスベ感は、群を抜いているといわれています。

私が、最初に川中温泉を訪ねたのは、
かれこれ10年近く前のことです。
「ここに美人がいるわけじゃないよ。私はね、心の美人なの」
そう言って豪快に笑った
先代女将の小林タミ子さん(故人)の言葉が、
今でも忘れられません。


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2012年1月11日(水)

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