人は誰でも故郷に錦を飾りたいという気持ちを持っている。まして私のように、「石もて故郷を追われた」身にしてみれば、故郷に帰ってきた以上、多少は日本で名を知られた人であることを故郷の人たちに知ってもらいたいし、また自分は事業家としてもそう腕の悪いほうじゃないぞとデモンストレーションの一つもしてみたい気持ちが働く。
故郷で大成功をおさめるのは難しいかもしれないが、私は働き盛りをほとんど香港や東京で暮らしてきたのだから、自分の故郷を他所者の目で見ることができる。その私の目から見れば、私の生まれ故郷の台南市は京都みたいなところで、街中も寺廟のような名所旧蹟ばかり、住んでいる人も保守的なら、商売のやり方も退嬰的で町並みも十年一日のごとく変わりがない。そういうところへ近代化の波がドッと押し寄せてきているものだから、紡績会社が食品に進出したり、合板会社がプラスチックに転進したりしている。
私の場合は、コスト・インフレでにっちもさっちも行かなくなった日本から中小企業の社長さんたちを引率して来ているくらいだから、どうしても台湾で日本のコスト・インフレを解決できないものか、とそういう目で台湾を見る。たしかにそういう観点からみると、台湾の人件費は日本の三分の一以下で、しかも労働予備軍はいくらでも控えている。
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