虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第300回
大概、聴診器で騙せます

前回の話の続きになりますが
外科や整形外科、耳鼻科、眼科などの
専門的診療科目の医師に比べると、
内科の医師に成りすますのは、
初歩的な医学知識があれば
比較的難しいことではないと思われます。

なぜなら、内科の医師には
手術や処置の技術が必要ではありませんし、
高血圧や高脂血症、糖尿病など、
いわゆる生活習慣病の指導ぐらいなら、
市販の医学辞典にでも目を通せば
真似事ぐらいはできるようになるからです。

しかし、このことは
内科が簡単な診療科目ということを
意味しているわけではありません。
むしろ、内科は間口が広いだけでなく
奥行きのほうも相当に深いため、
すべての診療科目の中で
学問的に最も難しい分野の一つです。

言い換えれば、内科は最も早く
1人前になれる診療科目であると同時に、
熟成に最も時間がかかる診療科目でもあります。
例えば、患者さんの体調に関する情報を
簡潔に聞き出す話法や、
それらの情報から
身体の状態を的確に判断する能力は
一朝一夕で身につくものではありません。

また話を元に戻しますが、
大概の患者さんは、
病院の中で白衣を着た人間が
問診をしたり聴診器を当ててあげれば、
まず間違いなく相手を医師と思い込みます。
つまり、病院の中でスタッフに怪しまれずに、
白衣を着て聴診器を持っていれば、
患者さんに対して、内科医のフリは
比較的、簡単にすることが可能になります。


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