第279回
中越地震、「クラッシュ症候群」も心配!
先日から、避難生活における
エコノミークラス症候群の危険性について
いろいろと書いておりますが、
狭い車内での寝泊りや
体育館や公民館など固い床の上での
寝泊り生活はそれだけでなく、
「クラッシュ症候群」という
阪神大震災で大きな問題になった
症状を引き起こす可能性があります。
クラッシュ症候群とは、
手足や腹部などの筋肉が
長時間圧迫されることによって、
筋肉細胞が傷害や壊死を起こし
筋肉内の多量のカリウムが流失して
高カリウム血症になったり、
筋肉を構成しているミオグロビンという
タンパク質が大量に遊離して
腎臓の尿細管を詰まらせ
急性の腎不全を生じた状態を指します。
クラッシュ症候群の初期の段階では、
一般的に意識もしっかりしており
血圧も正常で重篤感にも乏しいため、
発見がむずかしいといわれていますが、
尿が茶褐色に変色し量が減少してきたら、
透析設備のある病院に早急に行かれることです。
こうした状態をそのまま放置しておくと、
多量のカリウムやミオグロビンが全身に広がって
心臓や腎臓の機能を急激に悪化させます。
クラッシュ症候群を予防するには、
体育館や公民館など固い板床の上で
寝泊りをされる方の場合は、
クッション性のある敷物を下にひいて寝てください。
(体育用のマットレスや座布団などを利用してください)
また、車内での寝泊りされている方の場合は、
エコノミークラス症候群の予防法に準じてください。
※『クラッシュ症候群の主な初期症状』
・運動、知覚麻痺が局所に起こる
・圧迫されていた筋肉部分が腫脹し
広範囲に点状出血を生じる
・尿が茶褐色に変色し尿量が減少する
・軽度の筋肉痛や手足のしびれ、脱力感など。
クラッシュ症候群の場合では、
治療を始めるまでの時間の長短が
患者の命を大きく左右するとされています。
つまり、症状に早く気がつけば
大丈夫ということなのです。
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