| 第123回結果思考ということ
 この間のニュースで、「営業成績によって増減する給与制度で、
 6月の手取り額が約2万2000円となった
 富士火災海上保険(東京)の男性社員(52)が15日、
 生存権を定めた憲法に違反するなどとして、
 3−5月の平均給与約21万9000円などの支払いを求める仮処分を
 東京地裁に申し立てた。」
 という記事が目を引きました。
 この社員の言い分が法的に妥当かどうかは、
 高島弁護士にお尋ねしたいものですが、
 一体どうしてこうなってしまったのでしょうか?
 同社が成果主義を導入したのは2000年といい、
 すでに5年が経過しています。
 この男性は勤続23年の営業担当ということだそうです。
 長年会社に尽くしてきたのに、これではヒドすぎる、
 ということでしょうか?
 本人にも問題ありそうですが、
 経営者にはもっと問題がありそうです。
 松本順市という人事コンサルタントの方が、「人事制度は社員を成長させる仕組み」というメルマガのなかで、
 「『評価の違いによって昇給に差をつけたい』
 なんて、トンでもない」
 と仰っています。
 「こんなことを社内で発表するから組織風土が壊れるのである。
 昇給・評価に差がつかないように、
 つまり全員が高い昇給になるよう教育指導するのが
 上司(経営者)の仕事である。」
 と書いています。
 会社の目的は全社員一丸となって社会の役に立つこと、それは利益計上という結果によって証明されるわけですから、
 経営者はどうしたら結果を出せるかを、自ら示し、
 社員の皆さんに納得してもらい、
 かつ実行してもらう必要があります。
 その会社の方向性や文化には
 全てのヒトが適合するわけではありません。
 途中から修正するなら尚更です。
 合わないヒトには、そのことをキチンと示し、
 別の道を選択してもらうことも経営者の大切な務めです。
 制度導入から長年経過してこの結果では、お互い浮かばれません。
 かくいう私も、浪花節的な台湾人社員との意思疎通に苦労しています。
 「がんばっているのになぜ他の社員より給料が低いのか?」
 「昔からいる社員をなぜ冷遇するのか?」
 結果志向、自分自身に対する警句と受け取っています。
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