第31回
地獄で仏?売上げたたずもソフトのライセンス期間延長
新製品の開発コンセプト確定に手間取る間にも、
時間は待ってはくれません。
センサーテック社から引き継いだ残注文はだんだん先細りとなり、
2000年5月には、月々の会社運営費を賄えるだけの
売上高を確保することが出来なくなっていました。
総経理のミン徐(スー)と、
彼が前の会社から引っ張ってきた営業のケビン林(リン)は、
現世代品が売れないまでも新製品が開発されるまでの間、
良い関係を維持しようと顧客の台湾OEMをまわったり、
オグラ技研の他の製品に搭載する電子部品の仕入れや、
逆に台湾企業への製品売り込みを試みたりしましたが、
付け焼刃のせいか、いずれもはかばかしくありませんでした。
センサーテック社は、
彼らが開発したセンサーモジュールの
ドライバーソフト用のソースコード
(プログラムの設計図のようなもの)公開は拒みましたが、
我々が自前のドライバーソフトを開発するまで、
無償でライセンスすることに同意していました。
しかし、その開発期間を6ヶ月と見込んでいたため、
有効期限切れが目前に迫っていました。
センサーテック社が
すんなり延長に応じてくれるかどうかはわかりませんでしたが、
とにかくお願いするより他はなく、私は再び米国へ飛びました。
現地では、契約のときサポートしてくれた
顧問弁護士のマリアさんの後釜であるモーリーンが
アテンドを引き受けてくれました。
彼女は、前もってこちらの要望を先方に伝えており、
感触をたずねると、
「イシハラの言うことなら他意はないだろう」ということでした。
実際、話し合いは短時間で終わり、
無償でライセンス期間をもう半年延長してもらうことができました。
どうやら、在庫引取りのときに拙い英語を駆使?して
何とか話をまとめたことが、先方に評価されていたようでした。
交渉の駆け引きについてまったくノウハウがなかったので
誠意をもってあたることしかできなかったからだけなのですが・・・
とりあえず、最悪の事態は避けられました。
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