至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第28回
秋田の日本酒の飲む、飲む

昨年の暮れからお正月にかけての帰省で
気に入った日本酒を紹介します。
ちなみに、私の好みは純米。
米の香りがして、しかし立ち過ぎず、
ふくよかだけれど甘過ぎず。
そういうお酒を自然と選んでいるようです。

まずは、今や全国的に人気のある
平鹿町 浅舞酒造「天の戸 美稲(あまのと うましね)」の
「特別純米 ひやおろし」。
喉にすうっと流れ込む、優しいが
しっかりと米の感触が残る
キリッと一本通ったお酒、だと感じました。
地元の美山錦、吟の精という酒米と
土地の湧き水で仕込まれるそうで
背ラベルには、酒米を作付けしている
JA秋田ふるさと平鹿町酒米研究会の方々の
名前と集合写真が載ってます。

骨太なおいしさを感じたお酒は、そのほか
友達の実家の地酒である仙北郡協和町 奥田酒造店の
「千代緑 重右衛門の酒 純米吟醸」。
仙北郡神岡町 刈穂酒造の
「刈穂 純米生酒しぼりたて」(第26回でも紹介)。
とても個性的で、深みのある味わいが愉しめたのは
由利郡仁賀保町 飛良泉本舗の
「飛良泉 長享(ひらいずみ ちょうきょう) 山廃純米」。
平鹿町 舞鶴酒造の
「朝乃舞 田从(あさのまい たびと) 山廃純米」は
とても素直な印象。私は常温で飲みましたが
もっと冷やしてもおいしそうな感じでした。

また今回の帰省では機会がありませんでしたが、
仙北郡南外村 出羽鶴酒造の
「出羽鶴 自然米酒 松倉 特別純米」も
よく飲むお酒です。
数年前にはたしか、超レアですが山廃純米があって
特別純米とはまるで違った、
舌にはりつくような濃厚な飲み口が新鮮でした。
今は、造られていないのが残念です。

こうしてみると、県の真ん中から南側のお酒が多いですね。
普段、生粋の秋田人は、イタリア人のごとく
その地域の酒を飲みます。
たとえば秋田市の私の父は高清水だし、
本荘の人は由利正宗、湯沢の人は両関といった具合で
滅多な事じゃ浮気しません。頑固です。
飲み方は、燗をつける温度まで決まってます。

私はと言えば気が多いので
秋田に限らず、全国津々浦々
いろんなお酒を飲みたいし、事実、片っ端から飲んで
あれもおいしい、これもうまいと
唸ったり、叫んだり、ジタバタしたりしています。
いつか、生涯この1本というお酒に出合えるといいな、と
憧れながらも
おいしいうまいの雄叫びは、当分あちこちで
響き渡りそうな気配です。


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2004年1月28日(水)

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