■QさんからのA(答え)
もしかしたら私の食べ物の本を
お読みになっていないんじゃないかと思います。
私はちょうど50年ぐらい前に
「食は広州に在り」という本を書きました。
この本は龍星閣という、
高村光太郎の「智恵子抄」を出して有名になった出版屋さんで、
とてもプライドが高くて、
どんな有名な人が私の本を出して下さいと持ち込んでも、
平気で断わっていました。
そこから「あなたの本を出しましょう」と言われたので、
とても珍しいことだと出版界の友人から言われたことがあります。
丸谷才一さんが文藝春秋で
「食通知ったかぶり」という連載を書かれた時に
「戦後書かれた食に関する三大傑作の一つ」
と取り上げてくれましたので、
そのおかげもあって何十万冊も売れました。
今も中公文庫の棚に並んでいますが
その後も、私は食べ物の本をかなりたくさん書いております。
当然食にはこだわりがあり、
私の家には専属のコックもおりました。
日本の人は外へメシを食いに行くのがご馳走ですけど、
私は自分の家の三度三度の食事がご馳走だと考えています。
この間もラジオに出たら、
「邱先生はそんなにいっぱい食べているのに、
ちっとも太ってませんね」
と司会の人から言われました。
「おかげさまで30年前の服がいまでも着られます」
と言ったら笑ってました。
どうして太らないかと言うと、
1週間に同じものを食べないぐらい
ヴァラエティに富んだ食事をとっているんです。
よくお酒とお蕎麦だけで朝から晩まで暮らしている人がいますが
あれでは栄養が偏ってしまいます。
日本でも医食同源というのがだんだん常識化してきましたが
食べるものに気をつけることは大切なことです。
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