第165回
■フレディーさんからのQ(質問):ニッパチの理論について

Q先生、いつも楽しく読ませていただいております。
渋谷区在住の作曲家のフレディーと申します。

先日のニッパチの理論というのを見て、導かれた結論が僕と正反対だったのでかえって興味深く思いメールしてみました。
僕は、2割の売り上げしかないその他のメニューが、メインメニューを支える土台になるんじゃないかと思えてしかたないんです。
作っている人にも食べる人にも、飽きがきて変化を求める気持ちがあるはずです。

こういうメニューがあったらどうかな?という創意なくして、料理人など続けていけるものなんでしょうか。私だったら絶対に無理だと思います。

売れていない方のメニューというのは、売れているメニューを支える実験の場所であり、必要不可欠なものなのではないでしょうか?
売れている新ヒットメニューというのは、その2割の中で試されたアイデアの中から生まれてくるのではないでしょうか?私はそう思うのです。少し理想主義すぎるでしょうか?

なんとなく普段の自分の物作りのポイントとにている部分を感じるのであえてメールしてみましたがどうでしょう。ひょっとするとただの言葉の解釈の問題かもしれないですけどね。

それでは、これからも先生の原稿、毎日楽しみにしています。


■QさんからのA(答え)

私は「もしもしQさんQさんよ」の中で、ニッパチの理論といって、例えばレストランのメニューの中に100品料理があるとすれば、お客さんが注文するのは大体20ぐらいしかなくて、その20の料理に対する注文の売上げが全体の8割を占めて、残りの80の料理の分は2割ぐらいしか売上げがないものだというお話をしました。

これはいろいろなことに当てはまると思って書いたんですけれど、これは現実に起っていることなんです。どこの会社の人にも、どこのレストランの人に聞いても「うん、そうだな」と賛成する人が多いんです。
それに対してあなたは「いや、あとの80があるからこそ20が成り立つんじゃないか」とおっしゃっている訳ですけども、それもその通りなんです。
売れないものがあるおかげで売れるものが売れていくというのも事実です。選択ということが消費者を納得させる重要な要素のひとつなんですね。

たとえばスーパーに行って自分が買いたいミルクは、明治、森永、雪印、農協と4つ並んだ中から選ぶんです。じゃあ明治を買う人が多いから明治だけおいたらいいかというと、それでは満足してもらえません。
4つある中から1つ選ぶということがどうしても必要なんです。ですからスーパーでは何品か並んでいて、その中から選べるようになっています。

そういった意味では選ばれないものが存在することによって、選ばれるものが成り立つといえます。それでも売れないものをいつまでも置いておくわけにはいかないですから、しょっちゅう品物を入れ替えることを考えなければやっていけないのです。


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