第152回 邱永漢さんのホームページを毎日楽しみにしています。インターネットはタイムラグがないので、邱さんの語る時事を読むのは自分の考えを作っていく指針になります。 質問は貯蓄についてです。大英帝国、アメリカなど代表的な成功例のとおり、覇権を握った国は自国通貨の経済圏を作ってきました。印刷代だけですむドルと、それだけで価値がある品物を交換できるのは、ドルを欲しがる人がそれだけ多いからです。ドルは買われ、強いドルの時代が続きました。 現在、ドルとユーロの2大経済圏がありますが、中国の経済成長を見ていると、中国・東南アジア・東アジアの経済圏が誕生しそうな気がして仕方がありません。 中国からの輸入代金の支払いのために、日本・韓国とも元を買う必要が増すばかりですから、元は高く円安ウォン安になります。現在の1元=約15円のレートが30円になる可能性はあるような気がして仕方がありません。 もしそうなった場合の話ですが、在日本で1000元持っていたら何年か後には15000円が30000円です。日本がインフレにならなければ寝ていて資産が倍です。逆に300万円の貯金は20万元の価値から10万元の価値に目減りします。 もしドルとユーロが元に対して安くならなかったならば、貯金を円のままで持っていたことを後悔すると思います。 私は中国株を買って持っていますが、もっと積極的に中国の尻馬に乗っかろうと思えば、貯金の円を元にする、という考えが頭から離れません。 邱先生はこんな考えをどう思われますか?初歩的で恥かしいのですが、お答えがいただければ幸いです。 |
■QさんからのA(答え) 大きな流れを見ていると、今は世界中の金が中国に集まりつつあります。 中国で生産をしてよその国に売っていけば、中国が貿易上大きな黒字になることは既に始まっていることです。それが長期的に続くと、かつて日本で輸出がものすごく増えて外貨がたまったのと同じことが中国にも起ると考えてもいいと思います。 私は7年も前からやがて人民元の方がドルや円に比べても強くなるのではないかと書いてきましたけれど、いまそこへ一歩一歩近づいているといってもいいと思います。その点では同じ投資をするのでも、日本に投資をするよりは今の中国に投資をした方が、もし人民元が切り上がったとき、その分だけ得をすると考えられます。しかし、そういうことを頭の中において行動することは良いのですが、はじめからそれを狙ってお金をどっちに持っていこうとしてもなかなか思い通りにならないと思います。 なぜなら中国も元の切り上げをすれば自分の輸出に悪い影響をあたえますから、世界中からしばらく色々言われても、いまのレートに固執すると考えられるからです。 その土地で仕事をやって、その土地のお金で儲けるにはどうしたらいいかを考えた方が、投機的な頭で物を考えるよりよろしいと思います。 |
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