第57回
気功と太極拳は養生法だ
中国の伝統的な養生法は
いろいろありますが、
現代において有名なものを挙げるとすれば
気功や太極拳が挙げられることでしょう。
それは間違いないことです。
中国では昔から体を強くする方法は
少なくないと思いますが、
現代知識で見れば、
民間の舞踊や筋トレや武術などは
健康効果もあるように思われます。
ところが、舞踊や筋トレなどは
養生にはなりませんでした。
その理由は、精気神を整える内容がなかったからです。
気功とは現代の呼称で、
約50年前から中国の医療界から
民間へと普及していきました。
気功の内容には、
伝統的な吐納法(呼吸を中心とする練習法)、
導引法(肢体の動きを中心とする練習法)、
坐禅法・存想法(意念集中を中心とする練習法)など、
様々な練習法が含まれています。
それらの練習法は意念意識を主導として、
呼吸を整え、
あるいは一定の姿勢や動作を練習することです。
意識意念や呼吸や姿勢動作の中から
各自がそれぞれ求めるものを中心にして練習するのですが、
いずれの練習法にも共通するのは
精・気・神を整えることです。
中でもとくに体内の「気」を整えることから、
気功という分かりやすい名前が生まれてきたのです。
太極拳は、近代中国武術の傑出的な流派です。
体質や性別も問わず、
だれもがすぐに練習を始められることは
太極拳の素晴らしいところだと思っています。
太極拳の自己練習法は、
戦う目的以外にも健康に良い運動にもなり、
それは古代の導引法に属します。
この内容については以前にもお話しました。
このように意識意念を主導し
精神安定のコントロールを行い、
呼吸を整えて体内気機を良くし、
肢体を動かして気血の流れをよくする内容は、
中国的な健康長寿の方法です。
この三つの調整内容をすべて揃えている
気功、太極導引は
養生法であることが、
これで理解していただけたのではないかと思います。
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